米大統領選は共和党候補のドナルド・トランプ氏が当選という結果に、全米が衝撃を受けた。日本も今回ばかりは対岸の火事とは言っていられない。TPPや日米同盟など数々のトランプリスクを抱え、安倍政権のかじ取りは難しくなっていく……。
「すぐに訪米を決めたのは日米同盟への不安の表れでしょう」(政府関係者)
安倍晋三首相は10日朝、トランプ氏と電話で協議し、17日に米ニューヨークでの会談を決めた。政府関係者によると、官邸も外務省もトランプ氏と太いパイプはなく、大統領選の予想外の結果に慌てふためいたというのが実情のようだ。8日から谷内正太郎国家安全保障局長をモスクワに派遣しており、「安倍首相の頭の中は日ロ交渉でいっぱいだった」(側近)という。さて今後どうなるのか──。
「オハヨ、オハヨ~」
9日昼すぎ、外資系投資会社の東京のオフィスビルのエレベーター内で外国人が騒ぎだした。よく聞けばオハイオ。命運を握るオハイオ州でトランプ氏が勝ったと話していたのだ。
株価はたちまち暴落、市場は大荒れになると誰もが予想した。しかし、投開票日に日経平均が急落したものの、翌日は一転、上昇へ。セゾン投信の中野晴啓社長はこう話す。
「トランプ氏の大統領然とした勝利演説を聴いて、私たちの見方も落ち着いた。これまでの発言は選挙用だったのかなと」
ただ、これで「終わり」ではない。これからが「本番」だと、経済アナリスト豊島逸夫氏は指摘する。