米ツアーで3度目の勝利をものにした松山英樹選手。海外選手に引けをとらないパワーと技術をもつ松山には、戦う環境を整える完璧なバックアップ体制がある、丸山茂樹氏は指摘する。
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やりましたね。米PGAツアーの世界選手権シリーズ「HSBCチャンピオンズ」(10月27~30日、中国・上海の余山[シャーシャン]国際GC)で、松山英樹(24)がぶっちぎりの優勝を飾りました!
このシリーズは予選落ちもないんで、初日から思い切りやれる部分はあるんですけど、それにしても通算23アンダーで2位に7打差で勝っちゃうとは。恐れ入りましたよ。
これで米ツアー3勝目。もはや驚くこともないですよね。順調だな、また勝ったなというぐらいで。いまの充実ぶりからすると、すぐに4勝目を挙げて、僕の通算3勝は語られることもなくなりますよ。ただ、こんなに調子がいいのに、しばらくメジャー大会がないのはもったいないなあ。
僕が3勝したときはもう34歳でした。英樹は24歳ですから、そりゃあもう、うらやましい。夢が膨らみまくりじゃないですか。僕のころとはいろんな環境が違うから、早くに本格参戦できたし、いい決断をしたと思います。
体格も飛距離も、海外の選手にまったく引けをとってないですよね。東北福祉大時代の後半ぐらいから、トレーニングしてパワーをつけて体をつくりあげてきた。いまは完成形になったんじゃないかと思います。フィジカル面、メンタル面、それからゴルフに関するあらゆる情報収集の面でも、「チーム松山」が万全のバックアップをしてます。これはもう、めちゃくちゃ大きい。体も技術も戦う環境も、完成形になってるんです。
このコーナーで何度も触れてますけど、これでさらに今月24日からの国・地域別対抗戦「ワールドカップ」が楽しみになりました。最新の世界ランキングで6位まで上がってきましたから、周りの選手たちはこれまで以上に英樹を強く意識するようになりますよね。相棒の石川遼(25)も調子を上げてますし、同学年コンビで世界一を達成してもらいましょう。
国内ツアーでは「マイナビABC選手権」(10月27~30日、兵庫・ABCGC)で片山晋呉(43)が通算30勝目を挙げました。英樹の優勝と同じ日だったんで、メディアの扱いは少し小さくなっちゃってましたけど、晋呉も立派、立派ですよ。何より、このトシで最前線で胸を張ってやれてるっていうのが素晴らしい。同年代の僕自身がけがに悩み続けてるんで、とくにそう思っちゃいます。ある先輩の野球選手が言ってましたけど、「マル、現役が一番楽しいんだぞ」って。ほんと、そうなんですよね……。
※週刊朝日 2016年11月18日号
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