小池都知事の“弱点”とは?(※イメージ)
小池都知事の“弱点”とは?(※イメージ)

 小池百合子都知事が動けば風が起こる。「小池劇場」の観客は増え続け、人気はうなぎのぼり。しかし、これまであまり表立った批判をしてこなかった都議たちが、知事が出席しない委員会で、知事のブレーンが主導する「都政改革本部」に対して、公然と異議を唱え始めた。

 小池知事が就任から3カ月で築地市場の移転問題や東京五輪の計画見直しを進めることができたのは、しがらみのない都政改革本部をつくって重用してきたことが大きい。その手法に都議たちが表立って異議を唱え始めたのは、小池知事との対決姿勢を強めていくゴングともいえそうだ。

 東京五輪の関係経費の見直しは今月下旬に開かれるIOC、都、大会組織委員会、政府による4者協議で結論が出る見通しだ。ボート・カヌー、バレーボール、水泳の三つの会場の見直しが焦点になるが、ある自民党関係者はこう言って不満をあらわにした。

「たとえばボート会場の宮城県・長沼案というのはすでに五輪関係者の間で2年前にさんざん議論して、否定されたものなんですよ。それを調査チームがまた持ち出してきた。小池さんは役人の言うことを聞かないで、調査チームの言うことばかり聞いている。東京都と調査チームの情報共有ができていない」

 別の自民党関係者は、党の方針に反して知事選で小池氏を支持した「7人の侍」と呼ばれる自民区議の党除名問題を挙げて、側近政治家の力不足が小池知事の“弱点”だという。

「下村博文都連会長は7人の侍の処分問題の解決を先送りにしたが、小池さんのブレーンに力のある政治家がいれば、処分取り消しに持っていけるはずです。そうしたバイタリティーとコミュニケーション能力のある政治家のプロが、小池さんの周りにはいない。それでいて判断しなければいけない重要案件はいくつもある。問題を先延ばしにすると、反小池の“刺客たち”が虎視眈々(たんたん)と追い落としを狙って動き出しますよ」

「都政を透明化し、情報を公開し、都民ファーストの実現」を目指す小池知事。都政改革本部が繰り出す“ショック療法”で都議会の議論が活発になれば、それも「小池劇場」の一幕なのかもしれない。

週刊朝日  2016年11月18日号より抜粋