「水に溶かした砂糖をかけるシュガーコーティングのドーナツは、とろけるような舌触りをキープできる時間が短く、専門店に一日の長があります。大きなギザギザが特徴のフレンチクルーラーも、専門店では薄く繊細なコーティングが可能ですが、コンビニでは溶けにくい上がけをするため、口どけの差が大きくなります」(平岩さん)
導入当初は、ミスドをそっくりまねしたような品も多かったコンビニ。リニューアルや商品入れ替えを繰り返し、個性的な商品が増えているという。
「セブンは抹茶や黒蜜きなこなど、和のテイストに力を入れている。ローソンは油で揚げないヘルシー志向の商品を投入し、女性客を意識している感じです。りんごとレーズン入りの生地とクッキー生地を合わせたファミマの『アップルレーズンフリッター』(140円)はアメリカ系の専門店などで見られる珍しいドーナツ。試してみる価値があるかも」
さて、ドーナツをよりおいしく食べる方法は?
ローソンは、ドーナツとドリンクの組み合わせ「ペアリング」を楽しむことを勧める。
「甘く風味がしっかりしたオールドファッションチョコは、アイスカフェラテ、あっさりしたクイニーアマンにはブレンドコーヒーがおすすめですが、ご自分のお好みの組み合わせを見つけてみてください」(ローソン・カウンター商品部)
平岩さんは、電子レンジの活用をアドバイスする。
「レンジで数秒温めると、できたての味がよみがえることも。ただし、チョコがけと生クリームは避けたほうがベター」
大の甘党の記者も、コンビニ各社のドーナツをいろいろと試した。確かに定番品より、個性ある商品のほうが食べるときにもワクワクし、おいしい気がする。
中でも気に入ったのは、ローソンの「安納芋あんのデニッシュリング」(130円)。
さっくりした生地に、濃厚な甘さの安納芋あんが絶妙にマッチ。平岩さんのアドバイスどおり、レンジで10秒温めたら、甘みが際立ち、よりおいしくなった。
コンビニと専門店、上手に使い分けながら味を楽しむ方法として、平岩さんはこうアドバイスする。
「専門店は品ぞろえが豊富なうえ、季節の新商品や見た目にもポップで可愛い商品が多く、選ぶ楽しさがあります。コンビニは低価格で24時間手軽に買える利便性がある。利用シーンに応じて使い分け、お気に入りを見つけてください」
※週刊朝日 2016年11月4日号より抜粋