プロゴルファーの丸山茂樹氏が、引退表明をした広島カープの黒田博樹投手、先日行われた日本オープンで優勝を果たした松山英樹選手について語る。
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いやあ、カッコいいですねえー。広島カープの黒田博樹君(41)です。10月18日、日本シリーズの前に今シーズン限りでの引退を表明しました。日米通算200勝に続いて、25年ぶりのリーグ優勝という目標を達成して、もう完璧な終わり方じゃないですか。カッコいいなあ。
読者のみなさんがこの連載を読まれるころには、日本ハムとの日本シリーズが始まってますね。以前も触れましたように、黒田君がドジャースに入るときにロサンゼルスの住環境のことなんかで連絡を取り合ったことがあるので、彼には日本シリーズも勝って有終の美といってほしいです!
さて、国内男子ツアーのメジャー第3戦となった「日本オープン」(10月13~16日、埼玉・狭山GC)は、松山英樹(24)が勝つべくして勝ちました。国内メジャーは初制覇ですけど、もはやそんなのは英樹にとって大きな意味もないですね。
英樹の周辺から伝え聞いてたところでは、本人は今回のコースについて「すごく難しい」と言ってたそうです。まあ、それなら誰もが難しく感じるんだろうから、僕はまったく問題ないんだろうなと思ってました。3日目の65でトップに立って、最終日はフェアウェーキープ率が21%台と低かったですけど、しっかりラフから寄せていってました。アメリカの厳しいコースセッティングで積んだ経験が生きたとか何とか言うより、もう実力が圧倒的に違う。格が違いました。
最終日のギャラリー数が1万4417人ですか。すごいもんだ。毎日、ラウンド後の英樹にサインを求める人が長蛇の列をつくって、それに丁寧に応じてたみたいですね。日本にポンと戻って来て結果を出し、ファンサービスの責任もしっかり果たすんですから、素晴らしいですよ。
11月には英樹と遼で、団体戦で争う、国・地域別対抗戦のワールドカップに出ます。もちろん優勝は簡単じゃないですけど、二人で力を合わせたら、世界の最強クラスとそんなに変わらないと思うんです。
僕は高校のゴルフ部の先輩である伊澤利光さん(48)と組んで、2002年のワールドカップで優勝しました。ゴルフ人生で一番うれしかったですよ。ゴルフで二人の力をうまく合わせるのって、非常に難しい。そんな中、苦労してアメリカのフィル・ミケルソン、デービッド・トムズ組に競り勝ちましたから。いまや二人ともメジャーチャンピオンですからね。ほんと、僕のゴルフ人生の中でも特別な思い出です。そんな思い出を、英樹と遼にもつくってほしい。彼らが世界一を達成したら、日本のファンはそりゃあもう、盛り上がるでしょうね。我々はちょっと人気不足でしたけど。ハハハ。
02年当時の思い出を語る番組も収録してきました。ゴルフネットワークで放送されるので、ぜひご覧ください!
週刊朝日 2016年11月4日号
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