ギンナンの匂いが立ち込める、神田駅から西に延びる東京都千代田区の神田警察通り。車道を狭め、歩道を広げて自転車が走行できるスペースを設け、沿道のイチョウなどを伐採する計画を区が立てていた。今年7月、イチョウの枝が切り落とされると、反対の声が一斉に上がり、10月17日、計画が見直されることとなった。
沿道にある共立女子学園の卒業生の有志で結成する「神田警察通りの街路樹の保存保護を求める陳情書」の代表を務めるのは、共立女子学園の同窓会(中学・高校)の会長でもあるブライダルデザイナーの桂由美さん。
実は桂さんと小池都知事はかねてから親交がある。桂さんによると、小池都知事が自民党の有志と「婚活・街コン推進議員連盟」の会長に就任した3年ほど前から交流が深まった。小池都知事は、リオ・パラリンピックの閉会式への出席を決めた際、桂さんに鶴のデザインの友禅染のドレスがあるかどうか電話をかけ、それを身につけて出席したという。その桂さんはこう話す。
「共立女子学園の中学、高校、大学と10年間通学しました。もろもろの思い出の中で、校舎と同時に目に浮かぶのはイチョウ並木です。校舎というのは四角くて無機質なものですよね。並木が彩りを添えています」
千代田区内では、区道の明大通りや、東京五輪のマラソンコースでもある都道の白山通りでも、電線の地中化や歩道を拡幅するために、街路樹を伐採する計画がある。
自民党議員時代に電線の地中化を目指す小委員会の委員長を務め、知事選の公約にも掲げ、『無電柱革命』(PHP新書)の共著もある小池都知事にとって、街路樹の伐採を巡る騒動は気になるところではないだろうか。
桂さんはこう願う。
「並木は切らないで。もし、安全上どうしても切らないといけないのであれば、代わりに新しいイチョウの苗を植えてほしい。小池さんは、一度にいろいろな難問が出てきて大変でしょうけど、樹木の保存にも力を入れて取り組んでいただきたいですね」
小池都知事は次々に噴出する課題にどう向き合うのか。
※週刊朝日2016年11月4日号