東京都港区にある新橋と虎ノ門を結ぶ「新虎通り」。舛添要一都知事(当時)が2014年3月、パリのシャンゼリゼのような街並みを目指す「東京シャンゼリゼプロジェクト」を立ち上げた一角だ。

 確かに通りは広く、自転車道まである。オープンカフェはあるが、パラパラッと点在しているだけ。人通りが少ないのも気になる。優雅にコーヒーを飲む“パリジェンヌ”は見当たらなかった。「賑わい創出」とはほど遠く、寂しい限り。

「成熟した街と違い、用地買収をして道路を造ったため、まだ昔ながらの建物が残っているからです。すぐには街並みは変わらない。沿道の街並みも含め、まだこれから成熟していく街だと思っています」(都庁職員)

「新虎通り」はほぼ完成し、虎ノ門ヒルズなどの建物の敷地の整備などで、市街地開発費用は2340億円にもなるという。

 小池都知事はかつて、「海外の物まねをする必要はない」と、構想を否定するような発言をしたが、今後の計画の行方はどうなるのだろうか。

 景観といえば、東京都中央区のお江戸日本橋では、日本橋川の上空を覆う首都高速道路を巡り、長い間、賛否両論がうずまいている。首都高が日本橋川の上に開通したのは1963年。前回の東京五輪を目前に控え、慌ただしく建設が進められた。

 国や東京都が国家戦略特区の事業として、首都高の地下化を目指す計画はある。都都市整備局の担当者はこう説明する。

「首都高は1日数十万台以上の車が通ります。景観が悪いとか、負のレガシーとか言われるんですけど、これまで日本経済を支えてきた道路ですので、十分な役割を果たしてきたと思います。ただ、今の東京の状況で、ああいう景観のままにしておいていいのか、というのは新たな課題。国土交通省や地元などと話し合いをしながら決めていくことになっています」

 20年の東京五輪後の着工が検討されているというが、地下化には巨額の費用がかかる。財源の確保はどうなるのか、都の負担の規模はどのくらいなのか、不透明だ。

 20年の東京五輪・パラリンピックに向けた道路整備を巡っても騒動が起きている。

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