「関東地方は厚い堆積物のため、見えない活断層がたくさんあると考えられています。実は、中央構造線も長野からさらに首都圏にまで達しているかもしれないと指摘されているのです」
中央構造線は導火線のごとく西端の熊本で火花を散らせ、やがては関東大地震を引き起こすのか。脅威はそればかりではない。首都圏周辺の地下は、太平洋・北米・ユーラシア・フィリピン海の四つのプレートが潜り込んでいる、世界でも例がない地域だ。
「このため通常は太平洋沖などでしか発生しない海溝型の地震が、内陸で起きてきたのです。1923年の関東大震災や、1703年の元禄関東大地震も海溝型地震と考えられます」
島村氏はこう指摘する。
「いままでが静かすぎたのです。関東大震災から90年以上が経過しましたが、首都圏で震度5以上を計測したのは、数えるほどしかありません。うち2回は伊豆大島近海と東日本大震災です。江戸時代はずっと多かったのです」
いつ地震の活発期に入っても不思議はないのだ。
※週刊朝日 2016年10月28日号