豊洲新市場に続く“第2の移転問題”が、今や爆発寸前だ。小池百合子都知事の側近はこう話す。
「週刊朝日の報道で、都庁の役人が関係者から説明を求められてひっくり返って大騒ぎですよ」
本誌は先週号(9月30日号)で、東京都立広尾病院(渋谷区恵比寿)が2023年に同区の青山エリアに移転する計画について、地元医師会が猛反発しているにもかかわらず、舛添要一前都知事のトップダウンで、3月の都議会で移転先の土地購入費370億円を予算化したことをスクープ。病院建築費なども含めると900億円前後のビッグプロジェクトだが、その経過はあまりに不透明だった。都内の病院経営者は言う。
「もともと広尾病院は“赤字体質”が常態化していた。昨年度は都から27億円も繰入金をもらって、ようやく運営できている状態なのに、さらに巨費をかけて移転するというんだから、反発を受けるはずです」
舛添氏はなぜ、そこまでして移転計画を急いだのか。その経過をたどると、安倍晋三首相の側近である塩崎恭久厚生労働相の存在が浮かび上がってきた。
都によると、舛添氏が移転案を採用したのは昨年10月22日。そこからさかのぼること約7カ月前、ある出来事があった。
都が370億円を投じて購入しようとしている青山エリアの土地には、もともとは厚労省が所管していた「こどもの城」があった。施設の老朽化を理由に昨年2月1日に閉館したが、3月31日に最後のセレモニーが開かれた。そこに参加した塩崎氏が、注目すべき発言をしていた。塩崎氏は跡地の利用について、「公共の建物なので、売却先は地元自治体に声をかけます」と、都に土地を購入するよう求めたのだ。
そこから事態が動き始める。4月には国から都の財務局に打診があり、財務局は土地の購入費の捻出などについて検討を始めた。
土地登記簿によると、問題の土地は4月1日に、厚労省から内閣府に所管が移っていた。内閣府の担当者が経緯をこう明かした。