いよいよ終盤戦を迎えた参議院選挙。自民・公明など改憲勢力が3分の2を確保し“憲法改正”へという声もあるが、はたして野党共闘は形だけで終わってしまうのか。2人の識者が分析する。
「最大の争点は経済政策だ」
重点選挙区を中心に、応援演説に奔走している安倍晋三首相。各地でこう熱く語っているものの……。
「今回の参院選では争点が定まらず、お茶の間には“安倍首相のキレぶり”が印象的です。テレビの党首討論が1分長引いて怒ったり、生活の党と山本太郎となかまたちの山本太郎共同代表に、政治資金での『ガリガリ君』購入問題を突っ込まれて怒ったり……。1人区を中心に野党が善戦している“焦り”からかもしれません」(自民党関係者)
本誌は前回(6月17日号)に続き、政治評論家の浅川博忠氏と政治ジャーナリストの角谷浩一氏の情勢分析などを踏まえ、121議席の動向を探った。
終盤を迎えた選挙戦だが、浅川氏は「最後まで何が起こるかわからないが、安倍首相は運がいい」と言う。
「前回予測では野党への期待値が高かったものの、思わぬ逆風を受けているのが共産党です。公示4日後のNHKの日曜討論で、藤野保史政策委員長(当時)が防衛予算について、『人を殺すための予算』と失言し、攻めから守りの選挙に変わってしまいました。志位和夫委員長ら党幹部が野党共闘などで柔軟な姿勢を見せて、支持層の拡大を図ってきたのに、まさかの失速。複数区で勝機が見えていた候補者が、伸び悩み始めました」(角谷氏)
政党別予測から見ていこう。自民党は、改選議席から6議席増の56議席。改憲勢力は3分の2の議席162に迫る161に。民進党は大幅に議席を減らし、29議席になると予測した。共産は、選挙区で勝ちきれず、最大9議席程度と見られる。
一時、党の消滅危機が懸念された社民党はどうか。
「前回約126万票を獲得しているので、今回も労働組合などの追い上げで同じくらいはとれるのではないか。吉田忠智党首と2人そろっての当選は厳しいかもしれませんが、福島瑞穂氏は可能性が高い」(浅川氏)
次に、参院選の勝敗を大きく左右する1人区。32ある選挙区で目を引くのは、福島の岩城光英法相、沖縄の島尻安伊子沖縄北方相の現職閣僚に“黄色信号”がともっていることだ。
「福島、沖縄ともに自民劣勢という数字もあり、巻き返しがなかなか難しい情勢です」(自民党関係者)
東北地方を中心に野党統一候補の善戦もあって、自民党の勝敗は「22勝10敗」と予測。角谷氏は、こう分析する。