河村さんの見立てでは、今年のイチローの打撃は、全盛期の20~23歳のころに戻っているという。「新しい監督のもとで起用法がはまり、身体的に楽なのだろう」と分析する。

 数字へのこだわりとともに、陰で原動力となったとみられるのが、妻弓子さんの存在だ。イチローは食に強いこだわりを持つ。そんなイチローの体調維持に気を配ってきた。

『イチロー・インタヴューズ』などの著書があるスポーツジャーナリストの石田雄太氏(51)は、

「弓子さんは、イチロー選手に食事の面でストレスを与えないように配慮し、バランスのよい料理をつくっている。最高のコンディションづくりのために、相当な苦労をされています」

 と話す。

 世界記録達成は、多くの日本人の心を勇気づけた。イチローの物まね芸人・ニッチロー,(37)は「イチローさんを突き動かすのが野球好きならば、私の原動力もイチローさんが好きということ」。ファンの次の期待は、メジャー通算3千本安打。イチローのまなざしは、さらにその先を見つめているのだろうか。(本誌・永井貴子、松岡かすみ、太田サトル、吉崎洋夫)

週刊朝日  2016年7月1日号

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