漫画家&TVウォッチャーのカトリーヌあやこ氏は、不倫騒動後、ベッキーが初登場した「中居正広の金曜日のスマイルたちへ」(TBS系 金曜20:57~)について、反省の弁が過剰だったという。

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 今、視聴率が獲れるテーマは「謝罪」!? 不倫騒動後、ベッキーがテレビに初登場した「金スマ」。まさに今年の「謝罪」の両巨頭(?)、SMAP・中居正広とベッキーが勢ぞろいなんである。

 この日の舞台は、のどかな田園。TOKIOがいないDASH村的な「ひとり農業」コーナーだ。ベッキー抜きのメンバーが、なごやかに農作業を続ける。と、時おりぶっこまれる不穏な音楽。ゆがむ視界。すると、ボヨヨ~ン。なぜかベッキーの幻を見る中居くん!……て、なんだこの演出。必要なのか、この小芝居。

 わざわざこんな煽り方されたら、いったいどんな風にベッキーが現れるのか、気になってしょうがない。もしやタケノコ採りしてる竹林の竹をパカーンと切ったら、かぐや姫のごとく降臨?とか、ドキドキしてたら、夕ごはんの時ふつうに登場して、むしろそっちにびっくりです。

 そこからが、この日のメインテーマ「謝罪」。中居くんと差し向かいで、涙ながらに心情を語るベッキー。

「奥様がいる男性を好きになってしまって」「男性とおつき合いしたいと思って」「男性の気持ちが離れちゃうんじゃないかと」。あくまでも「ゲス」や「極み」や「乙女。」とは決して言わない。これは「男性」で押し通す予定か。ありがとう、フライデースマイル。

 
 そして、ベッキーの口からあふれ出る、数々の反省の言葉。「自分の罪の大きさを知って」「本当に最低なことをしてしまった」「愚かな考えでした」「深く深く反省しています」

 あんた、いったいどんな大罪を犯したんだ。まったく頼んでもいないのに、ここまで謝られると、勘弁してくださいと、こっちが謝りたくなるから、恐るべしベッキー。ポジティブも過剰だったけど、ネガティブも過剰なんだね。

 いっそベビーフェイス(善玉)から、ヒール(悪役)に転向してくれてもよかったのに。そこは「べつに」の(沢尻)エリカ様と違い、主戦場が「女優」ではなく、「バラエティ」ゆえのつらさか。

 番組中、ずっと中居くんの後ろの壁にあった十字架(「ひとり農業」のディレクターがクリスチャンなので)。もはや、ブッチー武者の神様が出て来て、ベッキーに水ザバーッてかかる「ひょうきん懺悔室」エンドの方が救われたかも。

週刊朝日 2016年6月3日号