熊本地震で原発リスクが改めてクローズアップされたが…… (c)朝日新聞社
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 トラブル続きで昨年11月に原子力規制委員会から運営主体の変更を迫られた高速増殖原型炉「もんじゅ」。その期限まであと1カ月を切った。1兆円を超える血税をつぎ込みながら6年前から運転停止に、廃炉を迫る声も強い。だが、本で大地震があったにもかかわらず、存続が濃厚だという。

 原子力規制委員会は昨年11月、ついに三行半を突き付けた。機構の主務官庁のトップに当たる馳浩文科相に対し、トラブルが相次いだもんじゅを運営する日本原子力研究開発機構(旧動燃。以下、機構)に代わる運営主体を探すか、それが困難なら「発電用原子炉施設もんじゅ」の在り方を抜本的に見直し、概ね半年以内に回答するよう迫ったのだ。

 だが、もんじゅの受け入れ先は簡単には見つからない。冷却材のナトリウムを制御する技術的ハードルの高さに加え、運転しなくても維持費に年200億円かかる。原子力関係者からは「本来なら高速炉が必要といっている電力会社が引き受けるのが筋」との声も出るが、電気事業連合会の八木誠会長は文科相に勧告のあった昨年11月、「我々電力が引き受けるのは大変難しい」と予防線を張った。

 人的交流もある日本原子力発電(原電)が引き受けるのではないかとの観測も出たが、原電関係者は「いまの原電にそんな力はない」と否定し、夢どころか、“お荷物”となっている。

 そもそも高速増殖炉は、ウラン燃料が枯渇しても原発を動かすために計画された。その後、ウランの可採埋蔵量が増え、海中ウランも無尽蔵にあることがわかるなど状況が変わり、電力会社もやる気を失った。

 それに加えて機構以外に高速増殖炉を動かした経験を持つ人材は限られ、うかつに手を出せないのだ。

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