無電柱化で期待できる効果とは(※イメージ)
無電柱化で期待できる効果とは(※イメージ)
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 補正予算の前倒しなどで被災地支援に全力をあげる安倍政権。一方、決断の時が迫るのは最大10兆円ともいわれる追加の経済対策、つまり“バラマキ”だ。伊勢志摩サミットを控え、財政出動表明で先陣を切るはずが、地震で非常事態となり、票目当てのバラマキなどする余裕はない。

 週刊朝日は国民のためになる一つの策として、「無電柱化」を“逆提案”する。

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 大地震に備えて街の防災力を上げ、後世への置き土産となるインフラ案もある。その一つは、道路に林立する電柱をなくし、電線を地中に設けた管路の中に収める「無電柱化」だ。

 訪日客で賑わう京都市中京区先斗町。全長490メートル、幅約1.4メートルの小道の両脇にはお茶屋や飲食店が軒を連ね、風鈴と箒(ほうき)の音が聴こえる風情豊かな通りだ。ここで昨年末、住民らが市などと合意。東京五輪がある20年をメドに無電柱化へと動き始めた。先斗町まちづくり協議会の金田祐一副会長は言う。

「2年ほど前、各店から道にせり出した看板のほとんどを敷地内に引っ込め、奇麗にしました。すると今度はブサイクな電線が頭上に見えてきた。当初は難しいと思ってましたが、関連機器の小型化などの協力、機器設置のために地元が民有地の提供もして、ここまできました。景観が改善するのはもちろん、ここは店が密集し、車が入れない歩行者専用道路なので、とくに防災面でも電柱がなくなるのはプラスになる」

 京都市建設局によると、無電柱化は市内道路全体の約2%で完了。道路環境整備課の永田盛士さんは「世界が誇る京都として重視するのは景観。ただインフラ老朽化もあり、耐震補強などを優先しているのが実情です。無電柱化の進捗は年1キロ程度。地域協力あっての取り組みですが、予算がなければ呼びかけもできない。支援が手厚くなればもっと進めたい」とする。

 ちなみに世界ではどうか。ロンドンやパリ、香港の進捗率はなんと100%。台北は95%、シンガポールでも93%と京都は大きく水をあけられている。

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