防災訓練中の川内原発。本当に大丈夫なのか… (c)朝日新聞社
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「立ち上がったら携帯に緊急地震速報が入り、その瞬間、グラッと横揺れが来た。時間にして10秒ぐらい。それから20分ほどで余震も来ました。とにかく、ここに来てからいちばん大きな揺れでした」

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 国内で唯一稼働中の川内原発から、わずか50メートルほどしか離れていない海岸にある再稼働抗議テント。ここで断続的に寝泊まりを続ける野村昌平さん(81)は、14日の本地震を振り返る。

 震源地から約120キロ離れた薩摩川内市の震度は4。九州電力によると原発に影響はなかったというが、大きな揺れがあったことは確かなようだ。

 マグニチュード(M)7.3、6.5、最大震度7の巨大地震をもたらした2つの地震は、益城町や熊本市のすぐ近くを通る全長約60キロの布田川断層が横ずれしたものとみられ、政府の調査では、最大M7が起きる可能性があると推定されていた。

 防災科学技術研究所客員研究員の都司嘉宣氏は言う。

「断層の長さに合った地震規模ではなく、一部がズレたと解釈できます。もし断層全体が動いたら……。そのときは川内原発にも影響を与えるような規模の地震になるでしょう」

 裏を返せば、断層のごく一部が動いただけで震度7が起きた今回の地震は、断層全体がズレることを見込んだいままでの地震想定を覆したことになる。つまり、今後も頻繁に大地震が起きる可能性が浮かび上がったのだ。さらに今回の地震で見逃せないのは、日奈久断層が日本最大級の断層系である中央構造線の端にあるということだ。中央構造線は長野県の諏訪湖から紀伊半島と四国の北側を通り、熊本に抜ける。つまり、浜岡原発や伊方原発の近くを通っていて、特に伊方原発からは5~8キロ程度しか離れていない。

 だからこそ、大地震に備えて原発の耐震強度をさらに強めるべきだと警鐘を鳴らすのは、高知大防災推進センター特任教授の岡村真氏(地震地質学)だ。

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