報告書でも、王将が過去にA氏と不適切な取引をしていたことから≪東証や証券会社から強く問題視≫されていたという。そのため、報告書の提言では、王将はA氏との関係について≪接点を絶たなければならない相手≫と位置づけている。
大東氏はその関係を創業家に代わって清算しようと奔走していた。12年に再発防止委員会を設置し、非公開の調査報告書を完成させた約1カ月後に射殺された。
不透明な取引と大東氏の射殺事件。この二つに接点はあるのか――。
今年に入り、西日本の海沿いの町に、ある捜査員が姿を見せた。ターゲットは九州の暴力団幹部と昵懇(じっこん)の間柄とされる人物だ。
この人物は、大東氏射殺事件後に「微罪」を積み重ねられて逮捕され、有罪判決を受けた。
「王将との関係? それは言えん」(捜査関係者)
A氏にも1月、司直の手が伸びた。福岡地検が別件でA氏が経営する関連会社を家宅捜索したのだ。
だが、前出の望月氏はこう首を傾げる。
「私が経営に深く関わっていた時代、Aさんとの関係でも、反社会的勢力とつながっているなどと一度も感じたことはありません」
報告書でも、A氏も含め、王将と≪反社会的勢力との関係の存在は確認されなかった≫と否定している。
しかし、指定暴力団に強いパイプを持つY氏は、こう語ったという。
「報告書の中に射殺事件につながるヒントがある」
事件の全容が解明される日は来るのか。(本誌取材班)
※週刊朝日 2016年4月22日号より抜粋