岐阜県の養老鉄道の駅構内で2月にあった訓練では、警察官が警棒で犯人と対峙していた……。愛知県警では地下鉄職員を対象に実施。繰り出したサスマタで犯人役を押さえる様子をネットにアップしている。サスマタは柄の先の金具で相手の動きを止める武具だ。
テロ対策に詳しい青森中央学院大学大学院教授の大泉光一氏は「サスマタで捕まえるのは笑い話。呆れてものが言えない。どうしてテロの想定がそのような内容なのか、不思議です」。
この訓練や装備はどこが決めるのか。警察庁に尋ねてみたが「回答に1週間かかる」(広報)という。
空港警備も怪しい。
「荷受け場に日本語で『テロ警戒中』とあるが、誰に向けた警告か。セキュリティーチェックも検査官はマニュアル頼み」(大泉氏)
ベルギーの国際空港はターミナルビル内でセキュリティーチェックをするため、多数の犠牲者を出した。
「日本は米国を参考にビル外でやる体制にすべきだ」(青山氏)
ベルギーのテロは当初、原子力発電所を狙っていたが、当局に察知され、変更されたという。テロ当日には南部の原発の作業員の大半が退避。犯人は原子力当局長官宅前に隠しカメラも設置していたという。原発が多い日本は、大丈夫か。
前出の青山氏によると、01年の米同時多発テロを機に全原発で軽機関銃などを装備した武装警察官が24時間警備。原発自体の強度も「ロケット弾でも破壊できない」と一定の評価をする。ただ仏や米の原発はさらに上のレベルだ。