なによりもまず、減塩の実践が重要!
なによりもまず、減塩の実践が重要!

 推定患者数4300万人と言われる高血圧。高血圧の治療の第一歩は、男性も女性も生活習慣の改善から。なかでも塩分の過剰摂取のリスクを把握して、いますぐ減塩生活に努めたい。

 福岡県の会社員、大井謙一さん(仮名・48歳)は、1年半前から少し動いただけで息切れや動悸を感じるようになった。以前から健康診断のたびに高血圧、肥満、脂質異常症を指摘されていたので不安になり主治医に相談し、製鉄記念八幡病院を紹介してもらった。

 初診時の血圧は164/106mmHg。検査の結果、心臓の冠動脈が狭くなる狭心症を起こしていたため、すぐにバルーンのついたカテーテルを用いて冠動脈を広げ、ステントを留置して事なきをえた。

 その後、高血圧治療の第一選択薬であるカルシウム拮抗薬と、心疾患を合併した場合に用いられるβ遮断薬、脂質低下薬、抗血小板薬を服用。1カ月後には血圧は132/80mmHgになった。発病後ただちに禁煙したことに加え、減塩、節酒、減量を心がけ、初診から1年が経過したいまも良好な状態を保っている。

「大井さんは20代から高血圧があり、脂質異常症や肥満もありました。長年の経過で動脈硬化が進み狭心症を起こしてしまったのです」

 と、同院病院長の土橋卓也医師は話す。

 高血圧があると脳卒中や心筋梗塞などの心血管病を起こすリスクが高くなる。たとえば中・壮年層で140-159/90-99mmHgの高血圧だと、心血管病による死亡のリスクは正常な血圧の人の約2倍になる。

「高血圧は自覚症状がないため、多くの男性はリタイアしてから血圧を管理しようと考えているようですが、もっと早くから取りかかるべきです」(土橋医師)

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