間もなく新年度。受験に失敗して浪人を決めた子供に親や周囲はどう接すればいいのか。子供のためにと思ってかけた言葉が逆効果になることもある。
代々木ゼミナール国語科の酒井敏行講師は、次のように語る。
「最初、親はそっとしておくべきですね。見守ってあげること。いちばん気をつけなければならないことは、子供を決して追い詰めないことです」
これからどうするの? 大丈夫?などと言うのは、禁句だそうだ。いい結果が出せずに、ただでさえ途方に暮れて落ち込んでいるのに、親が不安を解消したいがために子供を言葉で追い込んでしまうことになる。
「『努力が足らなかったんじゃない?』と言うのも最悪。自分なりに努力をしてきたわけですから、それを全否定するのはあまりにも酷です。『もっとがんばれ!』も逆効果。子供はがんばったにもかかわらず、思うようにいかなかったのですから、もうどうでもいいと投げやりになりかねません」
また、あれこれと不合格の理由を追及するのは、子供のプライドを深く傷つけてしまうので、絶対避けねばならない。
「不合格の子供には、全面的に支え続けるからこれからのことは心配しないでいいという親の思いと愛情が伝わることが何よりも大事ですね」
毎年、桜が散った何人かの学生が酒井講師を訪ねてくる。
「僕に『もう1年やれよ!』って言ってほしい子が多い。でも、人間は自分で決めて動きださない限り、道を拓けない。他力本願ではダメなんです。負の状態に置かれても、何くそ! 絶対に自分を認めてもらうんだ!みたいな生命力を持っていないと、社会で生き抜けないですよね」
「働きママン」シリーズなどの著作があり、今季、浪人生の娘を支えていたイラストレーターのおぐらなおみさんは、母親の視線で話す。