変わり種は、広島市の「可部(かべ)駅」。「応援入場券」には「KABE(かべ)を乗り超えろ!」とある。可部=壁。ちょっと強引な気もするが、おもしろいので合格、ということで。

 二つの駅間を結んで、合格のイメージにつなげたグッズもある。西日本鉄道では、福岡県久留米市の「試験場前駅」と、同みやま市の「開(ひらき)駅」とを結ぶ片道乗車券を「合格祈願開運きっぷ」として売り出している。「試験場」での運が「開」けますように。よく気が付くなあと感心させられる。

 阿武隈急行「GOかくだ切符」や名古屋鉄道の「合格へGo さくら満開きっぷ」なども駅間結合型だ。こうしたアイデア勝負の大半が私鉄で、その発想の柔らかさには恐れ入る。

 受験生応援が、地域振興に一役買っているものもある。本県球磨村のJR肥薩線「一勝地(いっしょうち)駅」では、「一勝」をあげる「地」として、40年近く前に記念入場券を発売。1986年に無人駅となってからも、駅に併設された観光案内所で入場券を取り扱っている。同観光案内所の職員は、こう話す。

「毎年この時期になると、全国から注文が寄せられます。近くの神社仏閣の参拝に併せて訪れる人も多く、村の観光にも役立っているんですよ」

“鉄”系受験グッズの多くは、駅窓口だけではなく、インターネット通販などでも取り扱っている。いろいろ取り寄せて、コレクションするのも楽しい。御利益が数に比例する……かは、わからないが。

週刊朝日 2016年2月12日号

▼▼▼AERA最新号はこちら▼▼▼