「4月に予定される全国解禁はいかがなものか。住人のいない空き家なども『民泊』の概念に含めて話を進めているのが問題です」
玉井教授が最も懸念するのは「ホストの有無」。というのも、住人のいない部屋を貸し出す「投資型」は利用状況が把握しづらいのだ。この点、前出の元谷代表も「民泊は受け皿不足解消の一助になる。ただ日替わりで身元不明の人が泊まるのは問題では」と話す。
実際にトラブルも起きている。京都府警は昨年末、京都市にある賃貸マンション(全44室)の空室36室を借り上げ、違法の中国人向け民泊をしたとして旅行業者らを旅館業法違反(無許可営業)容疑で書類送検。深夜の騒音でほかの住人を悩ませていたという。
政府は身元証明の義務化や泊数の制限を検討。一定の歯止めをかける方向だが、玉井教授はこう訴える。
「ネット上で個人間取引が可能なこのビジネスモデルは、先行する欧米でも実効性あるルール作りはまだできていません。ホストのいない『投資型』は区分し議論したほうがいい。国は安全面の基準を定め、地域が実情に合わせた姿で活用できる仕組み作りをして解禁すべきです」
網を投げれば大漁間違いなしだが、破れた網だと元も子もない。
※週刊朝日 2016年1月15日号
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