マスコミ各社から世論調査が発表され、安倍晋三内閣の支持率が上昇した。作家の室井佑月氏は、「なぜ」といぶかしがる。
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共同通信社が11月28、29日に行った世論調査によると、安倍内閣の支持率は48.3%で、10月に行った調査より、3.5ポイントもアップしたようだ。
なぜだ、なぜなんだ!
国民の半数以上が反対、8割が説明不足とした安保関連法を押し通し、野党が国民への説明のため臨時国会を開けというのに、逃げ切った。
安倍政権発足前と比べると、非正規社員が178万人増えて、正社員は56万人も減っている。
大変だといわれている介護者の報酬は引き下げられた。
法人税は下げるくせに、消費税は上げる。
社会保障費は財源が足りないといっつもいっているくせに、防衛費は来年度概算要求で5兆円もつけた。
低所得者や生活保護受給者が増えた。若年層で世帯収入300万円未満の人の数が問題になっている。無貯金者もかなり増えた。国民の暮らしの大変さがわかるエンゲル係数は、じわじわと上がっている。
あげてもきりがないぐらいだ。
少子高齢化が進み、介護離職が問題になっているのに、「一億総活躍社会」。アベノミクスによって雇用は100万人以上増えたと豪語するが、増えたのは非正規社員。
企業に「賃金上げろ」といいながら、労働改悪を進めている。
おまけに、ちゃっかり自民党への企業・団体献金は増やしている。
安倍政権はいってることと、やってることが違う。はじめに国民のための理想があって、それが大変で断念しているわけではない。はじめから国民を騙そうと画策しているようにあたしには見えてしまう。
たとえば、消費税を上げるにつけ、低年金者には3万円のバラマキをするんだとか。
けど、今回の世論調査の結果を見れば、そういうことで騙される人はたくさんいるみたいだ。
なにしろマスコミが政権批判をしなくなった。ニュースも新聞も、政権からのリークネタばっか。「アベノミクス新三本の矢」を大々的にニュースにするなら、その前に以前大々的に取り上げた「アベノミクス三本の矢」の総括をしなくてはならないのに。
確実に多くの国民が貧乏になっていってるんじゃないか。あと、何年くらい我々はのほほんと騙されていられるんだろう。
2020年、オリンピックまでか。つーか、この国は借金が1054兆円もあるってーのに、まだ使える大箱の施設を壊し、新しい大箱をつぎつぎに建てる。もちろん、それも借金だ。
「どこか狂ってる」「なにかおかしい」。そう思い、変わらぬ今日に不安を覚えるのは、あたしだけじゃないはずだ。と思うけど……安倍政権の支持率は上がっているんだよなぁ。どういうこと?
※週刊朝日 2015年12月25日号