「年に2回、全部で6回、三重へ弾丸ツアーをしただけ。それでもちゃんと成績表と卒業証書が郵送されてきました。成績がどうやってつけられたのかなんてわかりませんよ。リポートなんか一度も出したことないんですから」
ウィッツ青山学園の卒業生にはスポーツ選手、芸能人もいたという。
「元人気アイドルOも卒業生です」(B理事)
割の良い仕事と聞いて集まっていた参加者の一人も“学校説明会”にはあきれたという。
「税金の申告をするのが嫌な人もいるから、謝礼は現金手渡しでもOK、とまで説明されましたが、さすがにマズいだろうと思った」
だが、B理事らに生徒を斡旋した人物は少なくないようで、中にはあろうことか、議員もいた。前出のY氏の紹介窓口は、N飯能市議だ。
「僕は生活保護を受けているのですが、N市議から高卒資格を取っておいたほうがいいからと、勧められました。奨学金が出るからお金は払う必要ないと言われたけど、卒業した後に返済しないといけない。おかげで僕には借金があるのと一緒です。N市議の事務所の入り口には、ウィッツ青山学園の看板がかかっていましたし、ウィッツの名刺も持っていました」(Y氏)
本誌はN市議の名刺(写真)を入手。直撃すると、謝礼の受け取りは否定しつつ、紹介の事実を認めた。
本誌が、ウィッツ青山学園と四谷キャンパスにそれぞれ前述した問題について問い合わせたところ、ウィッツ青山学園高校からは「本校は何も知りませんでした」との返答があった。四谷キャンパスは期日までに回答がなかった。
教育評論家の尾木直樹氏はこう憤る。
「以前から、ウィッツの問題は耳にしていました。これらが事実なら、不登校の子や高校を中退した子たちの『高卒の資格がほしい』という願いを逆手にとって金儲けに使ったひどい悪徳商法です」
昨年度、ウィッツ青山学園が受けた支援金は1億5711万3千円に上る。
教育に風穴を開けると期待を受けて始められた株式会社の学校が、公の支援制度を利用した悪徳商法の組織に成り下がってしまったのだ。
ただ、尾木氏は今回の問題で、すべての通信制高校のイメージが悪くなることを懸念する。
「世の中にはいい通信制高校もいっぱいあります。問題なのは、小泉政権がつくった『教育特区』で、教育理念のない株式会社が学校をつくれるようになってしまったこと。そしてそれを監視するシステムがなく、野放しになったことです」
(カスタム出版部・横山 健、本誌・平井啓子)
※週刊朝日 2015年12月25日号
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