阿部サダヲ(あべさだを)/ 1970年生まれ。千葉県出身。92年から大人計画に参加。2019年大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」では主人公の〝田畑政治〟を熱演。08年に映画「舞妓Haaaan!!!」で日本アカデミー賞優秀主演男優賞、18年に映画「彼女がその名を知らない鳥たち」でブルーリボン賞主演男優賞を受賞。パンクコントバンド「グループ魂」では〝破壊〟の名でボーカルを務める。(撮影/写真映像部・加藤夏子)
阿部サダヲ(あべさだを)/ 1970年生まれ。千葉県出身。92年から大人計画に参加。2019年大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」では主人公の〝田畑政治〟を熱演。08年に映画「舞妓Haaaan!!!」で日本アカデミー賞優秀主演男優賞、18年に映画「彼女がその名を知らない鳥たち」でブルーリボン賞主演男優賞を受賞。パンクコントバンド「グループ魂」では〝破壊〟の名でボーカルを務める。(撮影/写真映像部・加藤夏子)
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 池井戸潤原作の映画「シャイロックの子供たち」で、熱血ではない銀行マンを演じた阿部サダヲさん。映画の見どころを語ってくれた。

【写真】銀行マン役も似合う。阿部サダヲさん主演映画「シャイロックの子供たち」の場面カットはこちら

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 自分には縁のない世界だと勝手に思っていたという。池井戸潤さんといえば、銀行を舞台にした『半沢直樹』シリーズをはじめ、『下町ロケット』のようなものづくりの世界、企業の不正を描いた『空飛ぶタイヤ』など、働く男たちを主人公にしたエンタメ小説を次々と世に送り出してきた、当代きってのベストセラー作家だ。これまで映像化された作品はすべて大ヒットし、その主人公や敵役は、阿部さんに比較的近い年齢の俳優たちが演じてきていた。でも、阿部さんは自分には一生、池井戸作品のオファーは来ないものだと思い込んでいた。

「だから、最初にお話をいただいたときはびっくりしましたね。ドラマとかの印象だと、俳優のしぐさや表情も、ものすごく熱いイメージがあったし、音楽も重厚で、『ああ~こういう音楽が流れる世界に僕はふさわしくないだろうな』なんて思っていたんです。でも、今回は松竹映画で、本木(克英)監督だと聞いたときに、『釣りバカ日誌』の西田敏行さん演じるハマちゃんのことがふと頭に浮かんだ。そんなにエリートじゃないサラリーマンで、やる気があるのかないのかわかんないみたいな人なら、できるんじゃないのかな、と」

 金融界や経済界を舞台にした小説を多く手がけてきた池井戸さんが、自分の小説が、「銀行ミステリー」や「企業小説」と分類されることに疑問を抱き、会社や銀行という組織ではなく、そこで働く人を生き生きと描くことに舵を切ることにした。その最初の小説が、『シャイロックの子供たち』だった。

「原作を読んだら、僕が演じる『西木』という人物が、途中で失踪してしまって、ほとんど出ていなかったんです。それが、台本をいただいたらすごく出番が多くなっていて驚きました。そこには、池井戸さんからのアドバイスがあったと伺って、それがすごくうれしかったです。柄本明さんの役もオリジナルで、すごくワクワクできる展開になっています」

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