夫は2003年、日本人初のK-1ワールドマックスの世界王者に輝き、格闘技ブームを牽引した元格闘家・魔裟斗。妻は高校生のころからテレビドラマや映画で活躍する俳優・矢沢心。二人の出会いはまさにドラマのようだった。当時、妻は19歳、夫は21歳。まったく違う世界に生きていた二人が結びついたきっかけは?
夫:彼女が乗った車が故障して止まっていたのが、たまたま、当時僕が住んでいたマンションのすぐ裏で。
妻:その日は友達と食事に行く約束をしていて、友達の車で待ち合わせ場所へ向かう途中でした。2月の夜で、JAFは来るまでに2、3時間はかかるっていうし。
夫:途方に暮れているところを、ちょうど僕が通りかかった、という。
妻:「どうしたの?」って声をかけてくれたんです。
夫:一緒にいた彼女の友達が、僕の知人だったという偶然もあったね。
妻:「寒い中でずっと待ってるのも大変だから、お茶でもしましょう」って言ってくれて。
夫:お茶と言いつつ、19歳の女の子をいきなり西麻布のバーへ連れていったんですけどね(笑)。
妻:西麻布なんて、ほんとに未知の世界でした。
――役柄は派手なことが多かったが、高校生から仕事を始め、忙しくて夜遊びなどしたこともない生活だった妻。体育会系の世界で生きてきた折り目正しい夫の姿に、大人の世界を垣間見た。
妻:そのころ、ガングロのコギャルが流行っていて、そういう役どころが多くて。でも、素の私は、本当に何も知らない、ただの高校生。
夫:ああいう役はてっきり、渋谷あたりにいる、本物のコギャルが出演してるんだと思ってたよ。
妻:コギャルのメイクって、大変なんですよ。作るだけで3時間ぐらいかかる。終わったら終わったで、メイク落としだけで2時間。もう、遊ぶ元気なんかありません。休みの日は寝ていたい、っていう毎日でした。
夫:そんな彼女を、僕は初対面でバーに(笑)。