第4問。パーティーなどで場違いな行動をすることはありますか。これは「ない」。続いては、季節に合った服装を選ぶことができないことがありますか。ぼくは寒がりで厚着の人だ。友達が暑くないかとあきれるほど。自分では変な格好はしていないつもりだが、厳しく「たまにある」。
六つ目の質問は同じものを何度も買ってくることがありますか。週刊誌や本などのことだ。これも「ない」。最後が冷蔵庫にいつも同じものが入っていることがありますか。ビールを切らしたことはないが、問いの趣旨は、いつまでも同じ品物という意味で「ない」。
この結果を自治体に報告してもいいかどうかを回答すると、「結果取得中」となって数秒後に「あなた本人のチェック結果」として赤い文字で、認知症の疑いが「あります」と表示された。続いて医療機関などが紹介される仕組みだ。
ショックだ。MCIなのだから、認知症の疑い「あり」と出たのは当たり前の結果ではあった。予備軍すなわち疑わしい身である。にもかかわらず、ぼくは「おかしい」と思った。
MMSEの検査でも最初は低い得点だったが最近は30点満点に近い数字だ。それでもアプリは20点以下と評価するか。3回テストしたが、疑いは「あります」。
ただ、七つの設問の回答が4択だと個人の印象でだいぶ違ってくるはずだ。このアプリを使うと不安をあおるようなことになるのではないか。
後日、高瀬さんのクリニックを訪ねた。自分の結果を言って、
「本当に93%の確率なのですか」
と聞くと、五十嵐中・東大教員や高瀬さんたちのグループが大田区の3医師会加盟のクリニックを受診した高齢者(65歳以上)のうち有効回答をした217人の結果を基に分析した「プライマリ・ケア領域で適応可能な認知症スクリーニングアンケートの開発」という論文の要旨を見せてくれた。