最終戦まで苦しみながらも来季のシード権を獲得した石川遼(23)選手。プロゴルファーの丸山茂樹氏は、苦労しているのが不思議だとこういう。
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いやぁ、よかったですね。石川遼です。
米PGAツアーのレギュラーシーズン最終戦「ウィンダム選手権」(8月20~23日、米ノースカロライナ州セッジフィールドCC)で31位に入り、前週130位だったフェデックスカップポイントランキングは124位に。125位以内が条件だった来シーズンのシード権を辛くもゲットして、8月27日からのプレーオフシリーズ進出を決めました。まさに「滑り込みセーフ」でしたね。
この3週前の試合で10位に入って、「もう大丈夫だな」と見てたら、翌週が予選落ち。まさか最後まで苦しむことになるとは、思いもしませんでしたね。
最終戦は大いにプレッシャーのある中、よく踏ん張りましたよ。47位から出た最終日は1イーグル、4バーディー、2ボギーの66。攻めのゴルフでした。
最後の最後でこうして「本シード権」をつかめたってのは、彼の運の強さもあるのかなと思いますね。「持ってる」んですよね、遼は。それに、もともとすごい実力のある子なんでね。パフォーマンスは僕が23歳のころと比べたら、100倍すごい。なんでこんなに苦労してるのか不思議なぐらいで。それが世界一のフィールドで戦ってる証しなんでしょうね。
今シーズンの遼を見ていて気になったのは、彼のスケジューリングですね。中盤まで、出場試合の間隔を開けすぎたと思うんです。もう少し根を詰めてやってれば、だんだんパフォーマンスも上がってきたはずなんです。若いんだしね。
それにしてもシード権争いはきわどかった。124位の遼のフェデックスポイントが458.43、125位のジェフ・オバートン(32)=米国=が458.0、126位のウィル・マッケンジー(40)=米国=が457.5628571。要するに遼は1ポイント未満の差で、ちょっと大げさですけど、地獄から天国へ滑り込んだんです。
「一打が大事」って簡単に言いますけど、こういう明暗を目にすると、その言葉の意味が分かりますよね。ゴルフって厳しいスポーツだなあって、改めて感じた次第です。
ウィンダム選手権では、久々にタイガー・ウッズ(39)=米国=が優勝争いに加わりました。最終日に崩れて10位とツアー80勝目は逃しましたけど、よかったころのスイングがだいぶ戻ってきた感じです。
やっぱりタイガーの経済効果って、ハンパじゃないですね。小さな町の試合に3日目からギャラリーがどっと押し寄せました。3日目が約3万5千人、最終日は約5万人。アメリカでは全英オープンの視聴率を超えたそうですから。
どうしても復活してほしいですよね。メジャーでなくてもいいから、まずは1勝して、いいときのタイガーをどんどん取り戻してもらいたい。一緒に戦ってきた者として、期待を込めて見ていこうと思います。
※週刊朝日 2015年9月11日号
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