近年、国内では若手選手の活躍が目覚ましいゴルフ界。世界でも同じく、ジョーダン・スピース(22)=米国=が自身初の世界ランキングトップに立った。丸山茂樹氏はゴルフが「『パワーゲーム』の時代になった」と分析する。
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今シーズンの海外メジャー最終戦となる全米プロゴルフ選手権(8月13~16日、米ウィスコンシン州ウィスリングストレイツ)は、27歳のジェイソン・デイ(オーストラリア)がメジャー初優勝を飾りました。トータル20アンダーの堂々たる勝ちっぷりでした。
いやあ、ついにやりましたね。ジェイソンはこれまでメジャーで惜敗を繰り返してきました。過去20試合に出てトップ10が9度だったんですから。今年の全米と全英オープンでも、ともに最終日を首位で迎えながら9位と4位……。
全米オープンのプレー中にも持病のめまいが出たんですけど、最近は薬で三半規管の機能を安定させるのに成功したんですって。それで7月下旬のRBCカナディアンオープンで今シーズン2勝目。上々のコンディションで臨んだ試合でした。これまで手が届きそうで届かなかったメジャーの頂点。優勝を決めた18番のグリーン上で、ジェイソンの涙は止まらなかった。
彼が米ツアーに本格参戦した2008年は、僕が最後にアメリカを主戦場にした年。よく一緒に回りました。球は飛ぶけど、ほとんどフェアウエーにいない。当時はそんな男でした。
そのころに僕の一人息子の奨王(ショーン・15)とも遊んでくれたりしてね。だから今年の全英オープンに僕が解説の仕事で行ったときも、一緒に来てた息子のところに駆け寄って、話しかけてくれましたよ。ほんと、心から「おめでとう」を言いたいです。
これを聞いたときに思ったのが、「タイガー、この記録は抜かれなくてよかったなあ」と。タイガーの打ち立てた数々の記録がどんどん抜かれていってますからね。ゴルフが完全な「パワーゲーム」の時代になった証しなんですかね。ドライバーで380ヤード飛ばしちゃうなんて、どこまでいくんだって感じですけどね。
そして岩田寛(34)ですよ。頑張りましたねえ。初日は77と大たたきしましたけど、2日目にメジャーの18ホール最少スコアタイ記録の63! 結局7アンダーで21位でした。
全英オープンの練習ラウンドを見てると、ヒロシがものすごく飛ばしてたんです。松山英樹(23)より20ヤードぐらい先にいってましたから。この活躍の予兆はありましたね、あのときに。
ヒロシは来シーズンの米ツアー出場権をかけた入れ替え戦に出場します。9月10日からのこの試合は、彼にとってゴルフ人生の分岐点と言っても大げさじゃない。貪欲(どんよく)にシード権をつかみ取ってもらいたいです。
松山英樹は37位でした。この前週から2週間は思うようなゴルフができなかったですね。でもね、こんなこともあるんですよ。英樹の安定感は、もはやトッププロの間でも周知の事実。米ツアー本格参戦2シーズン目で立派な戦いができてるという事実の方に目を向け、胸を張ってプレーオフシリーズ(8月27日~)に臨んでほしいです。
※週刊朝日 2015年9月4日号
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