待望の夏1号となる本塁打こそ出ていないが、存在感は別格だ。打席に入ると軽く上体を反らしてからゆっくりと構え、威圧感を放つ。22日の準々決勝で対戦した八王子のエース・横森拓也は振り返る。
「1年生なのに冷静で、打てる球だけを待つという(印象)。外角を投げても打たれるので、内角を積極的に攻めていこうと思った」
徹底した内角攻めによって、2個の死球を受けたが「(内角攻めに)気づかなかったです」(清宮)と、ひるまずに踏み込んだ。
6回の第4打席では低めの変化球を右手1本で中前に運ぶ技ありの一打。天性のバットコントロールを見せつけた。
準々決勝後の臨時会見には、34社121人の報道陣が集まる異例の展開。観客の多さを指摘されると、
「うれしいっス。もっと入ってもらっていいです。注目されていると思うと気持ちいいですね」
高校入学して4カ月足らずで、こう言い放つ強心臓のスラッガー。100年の節目に現れた怪物が新たな伝説を刻む。
※週刊朝日 2015年8月7日号