この知らせに、78年から表紙の昆虫や花の写真を撮影してきたカメラマンの山口進氏(67)がこう語る。
「“昆虫ファン”の組織票もあったんでしょうが、子どもたちが虫に興味を持つきっかけになればいいですね。親が『虫は怖い』と先入観を持つと、子どもも同じように反応してしまう。昆虫は色も形も多様で子どもの好奇心を刺激するし、環境全体を考えることにもつながるんです」
花と昆虫の共生をテーマとした写真を撮り続けている山口氏。ジャポニカの表紙を担当するようになったのは、70年代に「アサヒグラフ」に掲載したニューギニア島の虫の写真が担当者の目にとまったことがきっかけだという。以来、中南米や東南アジアなど熱帯地方を中心に約30カ国をめぐり、撮影を続けてきた。
「一回の取材旅行は3カ月ほどで、約70種類の虫や花を撮る。昔はインターネットなどもなく、現地の人に聞いて手さぐりで虫を探した。ヘラクレスオオカブトを撮るのには1カ月かかりました。現地で強盗に襲われたこともあります」
人知れぬ大冒険の末に、子どもたちが手にしていたノート。完全復活を望むのは、虫が良すぎますかね?
(本誌・牧野めぐみ、一原知之、上田耕司、小泉耕平、長倉克枝/今西憲之)
※週刊朝日 2015年7月24日号