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 キュートな宇宙人、「うる星やつら」のラムちゃんが、築地魚河岸仲卸の3代目と結婚したのは1989年10月。時代は昭和から平成へ移り変わり、バブルもそろそろ終盤にさしかかったところだった。料理店「魚河岸三代目 千秋」店主の小川貢一さんと声優・エッセイストの平野文さんの出会いは意外な形だった。

*  *  *
妻:結婚前、NHKニュースのリポートで、築地の仲卸の店から旬の魚の魅力を伝えるという仕事を毎週やっていたんです。最初は築地が怖くてね。人や自転車、ターレット(小型運搬車)は縦横無尽に通るし、ぼんやりしてるとどやされるし。

夫:まぁ、特に朝の場内は戦場ですからね。

妻:必死で通ううちに、少しずつうちとけてもらえるようになって。そしたらもう、どっぷり築地の魅力にはまっちゃった。そのころ私、バブル真っ盛りの六本木で初めての一人暮らしをしていたんです。でも、築地を知れば知るほど、こここそが昔からの江戸、本来の東京なんじゃないか、って思えてきて。生まれ育った杉並、バブルの六本木、そして築地。三つの街を比べてみて、私がこれから暮らしていくなら、築地が一番好みだと。

夫:それで誰でもいいから、築地の人と結婚したかったらしいです(笑)。

妻:それまで結婚するつもりなんて、まったくなかったんですけどね。昭和から平成へ時代が移り変わるのを見てたら、私も変わらなくちゃ、っていう思いに駆られて。仕事を変えるわけにいかないし、ならば結婚かしらと。それに築地に住みたいと思ったタイミングが重なったんです。

夫:お見合いするまでに、3カ月かかったんだよね。

妻:そう! 築地の広報の方に誰か紹介してくださいってお願いしたんですけど、最初は本気にしてもらえなくて。「またまた、ご冗談を」なんてね。信じてもらえるまで丸3カ月、毎週頼み続けたら、さすがにこれは本気らしいぞと(笑)。

夫:こっちには「お前よりひとつ年上だけど、嫁に来たいっていう人がいるんだ。会ってみるか?」って話があって。僕はあいにく「うる星やつら」なんて知りませんでしたしね。芸能人だし、どうせ断られるに決まってると思ったものの、話を持ってきたのが僕も入ってる消防隊の隊長さんで、逆らえない(笑)。弟たちは「うる星やつら」も見てたみたいで「兄貴、この人、すごい人だよ」なんて盛り上がってましたけどね。

週刊朝日 2015年6月5日号より抜粋