首相官邸屋上で見つかった事件をきっかけに、日本中にその名が知れ渡った小型無人飛行機(ドローン)。東京・浅草の三社祭でドローンを飛ばそうとしたとして、少年(15)が威力業務妨害容疑で逮捕されるなど、波紋はさらに広がっている。
飛行禁止の規制論議も強まる中、ドローンの新技術や活用例を紹介する展示会「第1回国際ドローン展」が5月20~22日、千葉市の幕張メッセであった。
悪いニュースばかりが目につくが、そもそもドローンを含むロボット産業は安倍政権の成長戦略の柱の一つ。地震や火山噴火など災害時に安全にものを現地に運んだり、搭載カメラで現地の様子を空撮したりすることもできる。農薬・肥料の散布や工事現場での点検など、その使い方は工夫次第だ。
今回の展示会には国内外約50社が参加。セコムは来月に正式発表する警備用ドローンをお披露目した。
「異常を感知して飛び出すので、泥棒などの確認や逮捕が今まで以上に早くできるようになります。そのほか、迷子や徘徊している高齢者の発見に役立てることも考えられます」(同社関係者)
ヨコヤマコーポレーションは、家電量販店でいま人気のマルチコプター「ALIEN−X6(エイリアンX6)」(税抜き1万2800円)などを展示した。
「この製品は、ドローン入門編の位置づけの商品。写真も動画も撮影可能で、記念写真の撮影などに便利です。売れ行き好調で欠品状態ですが、6月には再入荷しますよ」(同社担当者)
とうれしい悲鳴だ。
だが、参加者に、ドローンが世間を騒がせていることを尋ねると、
「影響がないとは言い切れないですね。ドローンのメリットとデメリットは表裏一体。ルール作りは必要でしょうが……。難しいところです」
と一様に顔を曇らせる。
期待と不安が入り交じった今回のイベント。関係者からは「規制が進みすぎたら、成長どころではない」との不安の声も上がった。
近未来の映画に出てくるような便利なツール。うまく使いこなせるか。
※週刊朝日 2015年6月5日号