プロゴルファーの丸山茂樹氏は、プライベートジェットでの超快適な移動のおかげで米ツアー3勝に至ったという。

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 マスターズで実戦に復帰したばかりのタイガー・ウッズ(39)が来日してたんですよね。スポンサー契約を結ぶナイキのイベントに出演するためで、4月26日に横浜と新宿で華麗なショットを披露したそうです。

 タイガーは今回、アメリカから中国へ渡り、そこでイベントを開いたあと、日本へやってきたんですけど、移動手段はもちろんプライベートジェット。

 2008年ぐらいだったかな。タイガーに聞いたことがあるんです。「一般の飛行機に乗ったことあるの?」って。そしたらプロゴルファーになってからは一度もない、と。彼ぐらいになると、世界中どこへ行くのにも「マイジェット」なのです。

 アメリカは国土がケタ違いに広く、移動に伴う疲労がバカになりません。野球の大リーガーたちが、チームのチャーター機で移動するのは、読者のみなさんもよくご存じでしょう。ゴルフは個人単位ですから、米PGAツアーを主戦場にするプロゴルファーたちはプライベートジェットを利用するわけです。

 といってもタイガーのように自分のジェット機を保有している選手は、ほんとに一握りのトップ中のトップ選手だけ。たいていはリースで利用するんです。言ってみれば、「空飛ぶレンタカー」ですね。

 僕も01年から08年まで、当時のスポンサーさんのご厚意で、リースのプライベートジェットを使わせてもらってました。

 
 当時の僕のケースで言うと、リース会社に電話して「いつ、どこの空港から飛びたい」と伝えると、最短で24時間以内にアレンジしてくれてました。離陸にも着陸にも、たいていローカル空港を使います。僕は自宅がロサンゼルスでしたから、いつもロス郊外のヴァン・ナイズ空港から飛んでました。

 車で空港へ行き、搭乗予定のジェット機に横付けするんです。機内にはパイロット、副操縦士、キャビンアテンダントの3人がスタンバイ。僕はいつも、この3人以外に13人が乗り込める機体を使ってましたね。といっても、たいてい4人ぐらいで移動してましたから、広々と使えてました。

「ロスの◯◯って店のチキンと●●って店のピザを用意しといて」なんてオーダーしておくと、ちゃんとお気に入りの食べ物を用意しておいてくれます。

 途中で給油のために着陸することもありますね。たいてい、ニューヨークからロスへというふうに西へ向かって飛ぶとき。このケースはアゲンスト(向かい風)を受けやすくて、燃料の消費が早いんです。

 着陸前になると、一般の飛行機だったら「シートを元の状態にお戻しください」って言われるじゃないですか。あんなのないんです。水平に倒して、寝たまま着陸してました。上空から電話できるし、いまはネットにもつなげるようだし、もう自由自在です。

 試合会場近くの空港に着いたら、現地で使うレンタカーを横付けして、荷物を運び込んだらレッツゴー。もう快適そのものですね。

 僕が米ツアーで3勝できたのは、こうして楽に移動させてもらったおかげと言っても過言じゃないです。あれがなかったら、途中で体力的に苦しくなってたと思います。ほんとに感謝してますね。

週刊朝日 2015年5月22日号

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丸山茂樹

丸山茂樹

丸山茂樹(まるやま・しげき)/1969年9月12日、千葉県市川市生まれ。日本ツアー通算10賞。2000年から米ツアーに本格参戦し、3勝。02年に伊澤利光プロとのコンビでEMCゴルフワールドカップを制した。リオ五輪に続き東京五輪でもゴルフ日本代表監督を務めた。セガサミーホールディングス所属。

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