一方、伝統校、前橋の小笠原祐治校長は、今年の進学実績に胸をなでおろす。
「医学部志向の生徒が多いとはいえ、昨年の東大合格者は現役1人だけ。県民やOBに『前高どうした』と心配されたので、例年並みの12人に戻って、ほっとしています」
昨年の不合格者の得点をみると、多くの公立高校の悩みである「地歴の遅れ」が敗因のひとつだったという。
「その反省から、地歴の授業速度を速くし、2次向けの添削指導を徹底しました」(小笠原校長)
現役の合格者が2人から9人に増え、11人が合格した四日市では、1年のときに「東大志望者で数学ができる生徒には文系を勧めた」という。文系は数学が苦手な生徒が多いため、アドバンテージになるからだ。3学年主任の髙嶋真人教諭は地域性についてこう話す。
「学年360人のうち医学部と京大の志望者は毎年40人ぐらいずついますが、なかなか東大に目が向かない。このため、5~6年前から2年生になる前の夏休みに、希望者対象の『東京大学見学会』を実施しています」
合格者数を減らしたのは2位の県立浦和、6位の西、7位の岡崎など。岡崎の進路指導主事の加藤高明教諭はこう話す。
「公立高校は、すべての科目の演習問題を深くやるのは時間的に厳しい。後期試験の合格発表が終わったら、各教科で分析し、限られた時間内でどう工夫すればいいか対策を考えたい」
表にはないが、合格者が21人から10人に減った宇都宮(栃木)の進路指導主事の小島雄一教諭は、医学部志望者は浪人しても医学部を目指すのに対し、東大志望者は浪人を選ぶ生徒が少ないことを理由にあげる。
「理系の生徒の2次の数学と理科の点数が伸びなかった。演習時間が足りなかったと思うので、日々の授業内容や演習時間の確保について検討していきたい」
後期試験では、29人以上が合格し、公立高校が健闘した。前期試験が終わってから後期試験までの期間にも、公立高校の現役生の学力は伸びるからだ。
「新課程入試の制度や仕組みについて理解が不十分な高校もあったかと思います。来年は対策をして、公立高校からの合格者が増えると思います」(石原さん)
来年はどのようなランキングになるだろうか。
※週刊朝日 2015年4月3日号