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 入試シーズンもおおよそ終わり、合否が届いているこの時期。受かる者もいれば、当然、失敗してしまった者もいる。ただ、受験の挫折は子供たちの人生を大きく狂わせかねない。

 この2月に和歌山県で起きた小学5年生殺害事件の容疑者は、高校受験に失敗し、次第に引きこもるようになったという。世間を震撼させた事件で、犯人が「受験に失敗」という経歴を報じられるケースは少なくない。受験の挫折が、どうして人生を大きく狂わせてしまうのか。

 緑鐵受験指導ゼミナール代表で精神科医の和田秀樹さんは、こう話す。

「受験でつまずいたことではなく、その後のフォローが悪かった例が多い。失敗した人には、落ち込んだときに思い浮かべてしまいがちな、『自分は負け犬だ』『ダメな人間だ』と思わせないことが大事なのです」

 和田さんは、受験においては、きょうだいや他人と比べることは「一番まずいパターン」だと言う。また、本人が自覚しているにもかかわらず「自己責任論」を唱えることや、「また浪人か」「お金がかかる」など、プレッシャーをかける言葉もよくないという。

 受験生の親や祖父母の時代よりも、少子化が進み、一人の子供にかかる受験時のプレッシャーは大きくなっている。そのため受験での挫折は、子供に大きなストレスを与える。銀座泰明クリニック院長で精神科医の茅野分(ちのぶん)さんは、受験生の年ごろの過度なストレスは、精神を病む原因になりかねないと警告する。

「統合失調症にかかりやすい年齢は17歳で、大学受験時の年齢と一致しています。脳の最終的な発達段階で、タイミングとしては一番危ういときなんです」

 だからこそ茅野さんは、言葉だけでなく、異変を示す無言のシグナルに気づくことが大事だと言う。

「危険な状態であると一番目に見えやすいのは食欲と睡眠です。もし、食べられない、眠れないなど異変が現れていたら、うつ病の症状が出ている状態です」

週刊朝日 2015年3月13日号より抜粋

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