

「初めは20年も続くとは思わなかった。ただ、音楽祭で初上演した際に観客から大喝采を浴び、いままでにない特別なものを生み出したと感じたのは確かです」
リバーダンスの生みの親の一人、ジョン・マカルガン氏はそう言った。
それまでのアイリッシュダンスといえば、民族衣装を着た踊り子たちが民謡に合わせて跳ね上がる地味なイメージ。
それを一気に変えたのが、1994年に開かれた欧州最大の音楽祭「第39回ユーロビジョン・ソング・コンテスト」だった。番組制作に携わっていたマカルガン氏や妻のモイヤ・ドハティー氏らは、幕間の出し物として7分間のダンスを企画。ソプラノの独唱から迫力の太鼓の演奏へと盛り上がる音楽。スタイリッシュな衣装。音に合わせて華麗なステップとタップを踏むダンサーたち。狙いは当たり、3億人の視聴者に強烈な印象を残す。それが現在のリバーダンスにつながった。
上半身をあまり動かさないアイリッシュダンスは、そのぶん激しいステップが求められる。リードダンサーの一人、ジェイソン・オニールさんがこんな話をしてくれた。
「ダンサーの生活はアスリートと同じ。僕の場合、プロテインシェイクを飲み、縄跳びと水泳で体力を養う。真剣に体作りをしないと、舞台でパフォーマンスを発揮できないんだ」
当然、競争も激しい。憧れのリバーダンサーを目指し、世界中から志願者が殺到する。舞台に立てるのは、そのうちの1割にも満たない。
リバーダンスは国際色も豊かだ。鮮やかな赤い衣装に身を包んだ女性がフラメンコを始めたかと思うと、ロシアダンサーたちが曲芸のような踊りを披露する。とにかく飽きさせない。4月から始まる来日公演では新たな演目も加わり、さらに洗練された舞台となりそうだ。
※週刊朝日 2015年2月6日号
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