バンド結成40周年を迎え、今年は全国ツアーに新曲発表、アルバムリリースと、精力的な活動が続く甲斐よしひろさん。林真理子さんとの対談ではこれまで成し遂げた偉業を明かした。
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林:それにしても甲斐さん、40年間第一線に立つって、ものすごいことですよね。会場だって誰もやらないようなところでやったりして、新しいことに挑戦し続けて。
甲斐:いろいろ克服しながらチャレンジした感じですね。NHKホールも、当時はロックバンドには貸さなかったんです。それで「紅白」の出演依頼が来たときに、「僕、そんなまぶしい場所にはとても立てません」とやんわりお断りして、代案として「NHKホールでコンサートをやりたいので、中継してくれませんか」と言ったら、OKになったんです。
林:武道館も甲斐バンドが初めてですか?
甲斐:それはわからないけど、毎年2デイズやってたので、武道館がホームグラウンドみたいなところはありましたね。
林:あそこ、トイレに着くまですごく時間がかかって、着いてもすごい行列で、大変なんですよ(笑)。知らないでしょう、舞台に立つ人は。
甲斐:アハハハ、そうなんだ。トイレで思い出したけど、両国国技館のこけら落としも僕らなんですよ。トイレに行って座ったら、ストンと沈んだんです。トイレの大きさがふつうの倍ぐらいあるんですよ(笑)。
林:お相撲さん用なんですね。
甲斐:あそこは土俵が沈んで、その上にステージをつくれるようになってるんです。
林:そのときの理事長、頭よかったんですよね。一円の借金もなしにあれをつくったんでしょう?
甲斐:春日野さんですよね。僕ら、リハーサルのときはいつも誰も入れないことにしてるんで、国技館でもスタッフにそう言っておいたんです。そしたらバイト君が超マジメで、春日野さんまで止めちゃって。春日野さん、本気で怒って、「こんなやつらに貸すな!」って。
林:まあ! 大丈夫でした?
甲斐:イベンターが必死に謝ってなんとかなりましたが、かなりヤバかったんです。「残った、残った」が、「怒った、怒った」ってネタにしてますが(笑)。
林:そんなことがあったんですね。
甲斐:誰もやらないところでやると、そういう問題がいっぱい起こるんですよ。いま都庁が建ってるところも、僕らが初めて野外コンサートをやったんですよ。なんでそれまでやらなかったかというと、トイレがないからなんです。僕ら、仮設トイレを日本で初めて使ったんです。
林:へぇー、仮設トイレも甲斐バンドが初めてですか。
※週刊朝日 2014年12月26日号より抜粋