文筆家の北原みのり氏は、男性の仕事のやり方にたくさんの疑問を感じたという。
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最近、男性が圧倒的多数のプロジェクトチームで、仕事をする機会があった。普段、女性だけの会社で働く私には新しい発見の連続だった。乱暴とは思うが、体験をあえて普遍化し、ここで疑問を投げかけてみたい。
なぜ男性は、家に帰りたがらないのか? なぜすぐに「長い会議」をしたがるのか? だいたい会議をしても、何かがスッキリ決まることが、まずない……のは、どういうことなのか? そして誰もが口ぐせのように「誰が責任を取るんだ?」と言いたがるのは、何かルールでもあるんですか? しかも、会議の後に必ず「飲みに行こう」となり、あろうことか会議で決まらなかったことが、飲み会の場ではスルスルと決まっていくのは、いったい何故なのか?
私の想像している以上に、男性たちは群れたがるものなのかもしれない。そのくせ、いくら飲んでも関係が深まる予感が全くしない。なぜなら彼らは、自慢話やオレの面白い話や自分が知り得た情報をそれぞれに言い合うだけで、会話になっていなかったりするから。
彼らとの飲み会を終え終電間近の電車に乗れば、車内の8割は疲れた顔のサラリーマン男性たちで占められている。いったい、この人たちは、妻や子どもと「コミュニケーション」しているのだろうか。残業を断れない職場もあるだろうけど、過剰な接待や無駄な会議やつまらねー飲み会を避けて、集中して働けば少なくとも5時間早く帰れるのではないか? だって女は、とっくに帰ってるよ。大変な仕事量を抱えてる女も、家事や育児や介護を一人で背負わざるを得ない女たちは、帰ってるよ。
つくづく会社員の道を選ばなくてよかったと思いながら、これじゃあ女は輝くタイミングを逸し続けるわね……と酒臭い車内でため息。輝けそうもありません。
※週刊朝日 2014年11月14日号