また20社リストでは、防衛事業がその会社全体の業績にどのくらい存在感があるかを探るため、防衛省との契約高を、各社の22年3月期の通期売上高で割った比率も示した。比率が高いほど、防衛費が増えた場合の業績への恩恵は大きいと考えられるからだ。前述のように、防衛省には中央調達以外もあり、年度ごとの変動もあるため単純に割り切れない面もあるが、目安にはなるだろう。
それではランキングをみていこう。1位の三菱重工業は21年度に防衛省から護衛艦や潜水艦、次期戦闘機など157件を受注し、契約高は4591億円に上った。これはグループ全体の売上高の11.9%にあたる。同社は戦闘機や潜水艦、特殊車両といった防衛装備品を数多く手がける。古くは戦艦「武蔵」をつくり、今も防衛銘柄の代表的存在だ。中央調達の概況によれば、少なくともこの6年は1位の座を維持している。
2位の川崎重工業も、明治期に初めて潜水艦の国産化に成功するなど防衛銘柄の代表格の一つ。21年度はP-1固定翼哨戒機やC-2輸送機など99件を受注し、契約高は2071億円だった。売上高に占める割合(13.8%)は、20社の中で最も高い。
03式中距離地対空誘導弾や非貫通式潜望鏡など、93件を受注した3位の三菱電機は契約高が966億円。防衛事業の売上比率は2.2%だ。同社によると「レーダーや情報処理、ネットワーク技術のほか、これら要素技術を統合・組み合わせた総合力」が強みという。戦闘機や艦船に搭載する管制システムやレーダーシステムなどを手がける。
続けて、防衛関連システムなどを担うNEC(4位)や富士通(5位)、東芝グループの東芝インフラシステムズ(6位)、IHI(7位)といったなじみのある会社が上位を占めた。
意外に思われそうな顔ぶれの一つはダイキン工業(12位)だろう。
同社は世界トップクラスの空調機器メーカーだが、戦車砲用の徹甲弾や各種誘導弾の弾頭、信管などをつくっている。もともと初代社長は旧陸軍大阪砲兵工廠の出身で、創業期は薬きょうや信管を手がけ、旧軍との関わりは深かった。『ダイキン工業 90年史』によると、今の空調機事業につながる冷凍機の開発は旧海軍の委託事業が起源という。