日本製鋼所(16位)の防衛事業も1907年の創業以来の歴史を持つ。命中精度の高い火砲をつくることで定評がある。新明和工業(20位)のUS-2救難飛行艇は、日本独自の技術を用いて開発・製造・運用する水陸両用機で「世界で唯一、波高3メートルの海面に着水できる」(広報担当者)。その開発秘話は小学館の青年漫画誌でも連載され、話題になった。
ENEOS(15位)や中川物産(17位)、出光興産(19位)といった石油関連会社は、航空タービン燃料や軽油を納めている。
注目企業はこの20社のほかにもある。自社サイトで「国内唯一の小銃メーカー」とうたう豊和工業や、銃弾をつくる旭精機工業、照明弾や発煙筒といった火工品を手がける細谷火工などがよく知られる。造船大手ジャパンマリンユナイテッドは機雷を除去する掃海艦や洋上補給装置を開発・製造し、防じん・防毒マスク大手の興研も防衛省向けの防護マスクを1985年以降、独占して供給しているという。
防衛省向けの比重が比較的高いのが、機雷や地雷など各種弾薬を開発・製造する石川製作所だ。直近の決算資料をみると、「防衛機器」分野の売り上げが全体の6割超を占める。17年には飛行データを記録するフライトデータレコーダーの国内トップ、関東航空計器を子会社化し、事業を強化している。(本誌・池田正史)
※週刊朝日 2023年2月24日号より抜粋