年金支給額も、物価上昇ほどは上がらず、目減りしている。

「生き方を変えるというのは嫌だけれども、それしかできない。買わないという選択肢しかない」

 経済ジャーナリストの荻原博子さんはこう話し、政府が物を買わせなくしていると指摘する。これでは景気が良くなるはずもなく、給料も、年金も上がらないとみる。

 一方、シニアはまだできることがたくさんあるという。いまのシニアは物をたくさん持っている人が多く、荻原さんは「足るを知り、ミニマリストの生活を身につける」ようにするといいと話す。

 たとえば、冷蔵庫を開けると、シニアは若い世代に比べめいっぱい詰め込んでいることが多い。さらに、団塊の世代はバーゲンセールに行き、会場で走りだし、競って物を買ってきた人が少なくないと荻原さんは話す。そうした人たちは「年齢に見合った生活に縮めればいい」という。

 電気料金の節約術について、風呂内さんは、エアコンの温度設定の見直しやフィルターのこまめな掃除などを勧める。冷蔵庫は、小型冷蔵庫などもある場合は一つにまとめたほうがいいとも。

 電力各社が節電ポイントを付与する節電プログラムに参加するのもいい。各社に、ポイント交換可能なサービスなどを確認してみよう。東京電力は、利用者ごとの標準的な使用量から実際の使用量を差し引いた残りを節電量として定義する。

 今後は防衛費や子育て支援の充実などで、増税も視野に入る。その前に、国はまだできることがあるかもしれない。荻原さんは「昔は特殊法人にいろいろなお金がプールされていたが、いまは基金バブル」と指摘。政府系の基金に蓄えられた「政府の内部留保」に厳しい視線を向ける。

 止まらない物価高。政府は企業に対して大幅な賃上げを求める。政府がまだできることはあるのかもしれない。(本誌・浅井秀樹)

週刊朝日  2023年2月24日号

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