相次ぐ輸入食品のスキャンダルに、作家の室井佑月氏は日本の企業も考えを改めるべきだと苦言を呈する。

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 ファストフード店などにチキンナゲットなどを卸していた、中国の食肉加工会社の不祥事が酷(ひど)い。

 たまたま自分の出ているワイドショーで、その会社の工場の様子をVTRで観たのだが――使用期限を過ぎた肉を平気で使う、落ちた肉を拾って使う、冷蔵庫ではない場所に肉を置いている、素手で食品を扱う――などなどつっこみどころ満載であった。

 VTRに出てきた工場で働く人は、

「食べても死なないよ」

 そう堂々といっていたっけ。

 いや、そういう問題じゃなくて……そういったところで、わかってもらえなさそうな感じだ。あたしたちは普段、こういうものを口に入れているのね。

 唖然としていたら、番組に最新ニュースが届いた。

「山口県の輸入会社がベトナムから輸入した冷凍シシャモに、ネズミの駆除に使われる殺鼠剤(さっそざい)と汚物が入っていた」というもの。

 このシシャモのパッケージには「樺太」と書かれていた。ベトナムの加工所で、殺鼠剤とウンコが入れられたのだろうか?

 あたしはこれらのことでコメントを求められ、

「すぐには無理であっても、徐々に国内産を増やしていくしかないのでは」

 と答えた。

 
 他国の人の意識を変えるのは大変だし、日本はこれから人口が減ってゆく(生産者も減るが消費量も減る)。国内産の食料を増やしていくんだ、という目標を持つことが大事ではないかと思った。

 別のコメンテーターは、

「海外の工場に食品を委託する場合でも、信頼できる責任者をその場に置けないか」

 というようなことをいっていたっけ。

 だよね。なぜ、そんな風になっていないのか。だって、あたしたちは輸入してきた企業を信じて食べるのだ。中国産問題ははじめてじゃない。そのくらい考えてくれてもいいのに。

 つまり、日本の企業だって儲け至上主義だってことだ。一円でも儲けたい企業は、コストカットに余念がない。工場に見張りをつければ人件費が増す。

 7月26日付の日刊ゲンダイにこう書かれていた。

「こうした問題が起きるたびに、日本のメディアは中国をぶっ叩くが、それだけでいいのか。中国人のモラルの低さを百も承知で、中国産を輸入し、売っているのは誰なのか。日本人の経営者も同じく、批判されるべきなのだ」

 あたしもそう思う。広告などの都合により、輸入メーカーや、販売会社を叩けないのはわかるけど。たとえば企業が、この国で働く人間を大切にし、自社の宝として扱ってみるだけで、少しはこの国の生産性だって上がると思わないか?

 それができなければ、日本の労働者も、中国の労働者のようにモラルが低くなっていくだけだ。

 そうなりつつあるようで、消費者としては怖いところだ。

週刊朝日  2014年8月15日号

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室井佑月

室井佑月

室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

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