基礎控除があって、一定金額まではかからないようになっている「相続税」。2015年1月からこの控除が大幅に縮小される。相続税がかかる宅地が増えることが予想されているが、名古屋圏ではどうだろうか?

 名古屋市内の中心商業地は商業施設の建設や飲食店の出店が相次ぎ、にぎわいを取り戻しているという。14年分の路線価も軒並み上昇した。

 下の表のように、名古屋圏で宅地の課税最小面積がもっとも小さいのは丸の内駅(地下鉄桜通線)で70平方メートル。周辺はビジネス街でオフィスビルが林立するエリアにある。実際には一戸建てを持つ人は多くないだろう。

 2位は同じく桜通線の隣駅、久屋大通駅で72平方メートル。20坪ほどの土地で相続税対象になってくる。

 また、3位は名鉄名古屋本線、JR中央本線・東海道本線、市営地下鉄の計5路線が乗り入れている金山駅で課税最小面積は85平方メートル。金山駅は名古屋駅に次ぐターミナル駅として機能している。駅の北口から南口のビル・広場などは名古屋市が建設、保有しているもので、いまは金山総合駅と称されている。駅周辺の用地は商業地としての価値が上昇しているほか、最近では住宅地としても注目を集めているエリアだ。

 このように、名古屋圏の場合、中心街は85平方メートル以内で課税されることになる。しかし、中心部を少し離れると課税最小面積はぐんと広くなる。

 地下鉄東山線の沿線は、名古屋圏でもっとも住宅価値の高いエリアとして有名だ。本山駅周辺には名古屋大学などがあり、文教地区としても知られている。最小面積は本山駅142平方メートルのほか、池下駅130平方メートル、一社駅145平方メートルなどとなっている。

 このほか、名古屋市西区の比良(城北線)、上小田井(名鉄犬山線)、中川区の中島(あおなみ線)、港区の築地口(地下鉄名港線)など周辺部の各駅では約350平方メートルで相続税がかかることになる。ざっと25メートルプール1個分の広さほどの、かなり広めの自宅を持っていると、課税されるイメージだろうか。

◇相続税がかかる最小宅地面積トップ10【名古屋】

順位 駅名/主な路線/都道府県/最小面積(㎡)
1 丸の内/地下鉄桜通線/愛知県/70
2 久屋大通/地下鉄桜通線/愛知県/72
3 金山/JR東海道本線/愛知県/85
4 清水/名鉄瀬戸線/愛知県/101
5 車道/地下鉄桜通線/愛知県/104
6 上前津/地下鉄鶴舞線/愛知県/122
7 高岳/地下鉄桜通線/愛知県/124
8 池下/地下鉄東山線/愛知県/130
9 東山公園/地下鉄東山線/愛知県/136
10 覚王山/地下鉄東山線/愛知県/141

※スタイルアクトのデータをもとに編集部が作成。各駅周辺で一戸建て住宅を所有している場合、土地の「相続税評価額」が相続税の「基礎控除額」を超える最小面積を示した。基礎控除額3600万円(法定相続人1人)のケースを想定。配偶者の税額軽減の特例、小規模宅地等の特例は適用されないものとする。宅地の相続税評価額は路線価相当額(地価×0.8)に敷地面積をかけて算出する。このため、基礎控除額の3600万円を路線価相当額で割り、3600万円を超える面積を算出。各駅周辺で最も小さい面積を記載した。地価は2014年国土交通省地価公示および13年都道府県地価調査を利用した(調査地点が重複する場合は14年地価公示を利用。住宅地および宅地見込地を使用)

週刊朝日  2014年8月15日号より抜粋