岸田文雄・外務大臣と作家の林真理子氏が、外務省接見室で対談した。
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林:外務大臣って、華やかそうに見えますが、大変なお仕事ですよね。とくに今はいろんな問題を抱えていますから……。安倍さんから任命されたとき、なにもこんなときに外務大臣じゃなくてもとか、お思いになりませんでしたか?
岸田:当初はこんなにハードな仕事だとはわかってなくて、そんなに深く考えませんでした。もちろん、重要な仕事だとは思ってましたがね。でも実際やってみると、世界を相手にしなきゃいけないので時間も不規則ですし、責任も大きい。体力も精神力も要求されますね。
林:官僚からのブリーフィング(解説)も、ものすごい長時間にわたると聞きますが。
岸田:いろんな国があっていろんな課題がありますし、次々と新しいことが起こりますから。一つの会談をやるにしても、相手が何を言ってくるかわからないので、あらゆる場面を想定してしっかり準備をしなくちゃならないですね。
林:素人考えですけど、ニュースなどで「局長級会議」とか「次官級協議」って言うじゃないですか。どのレベルが対応するというのは、大臣が決めるんですか。
岸田:だいたい相場観がありますから、事務方から「これでどうでしょう」という案が上がってくるんです。大臣、総理大臣とレベルを上げていくケースもあって、状況によって判断しています。
林:大臣みずからお出ましになるのは、よほどの重要案件ですか。
岸田:内容によってランクや対応を変えてメリハリをつけないと、うまくいかないですからね。
林:いまは北朝鮮の拉致問題も大変そうですし……。
岸田:ご家族の高齢化が進んでいますから、時間との闘いですね。今回はぜひしっかりとした結果を出したいと思っていますが、今までのことを考えると、楽観はできないと思ってます。
※週刊朝日 2014年7月25日号より抜粋