惨敗に終わったサッカーワールドカップ日本代表。西武元監督の東尾修氏は、世界で勝つために必要なことをこう語る。
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サッカーのワールドカップ、日本代表は残念というか、もっとやれると誰もが信じていたと思う。でも、どうだろう。実際はゴール前での決定力だったり、フィジカルの強さだったり、試合の運び方だったり、正直言って世界とはまだ差がある。普段からサッカーを見ているわけではない私でも感じたのだから、サッカー好きのファンなら、もっとシビアに差を痛感しているんじゃないかな。
「日本らしいサッカー」という言葉がよく話題に出ていたけど、実際はどうなのだろうね。伝統というものは、4年間やそこらで築けるものではない。10年、20年、それ以上かかることもある。ただ、今後につなげるという意味で、惨敗に終わった今こそ、サッカー界の全員で考えるべきものだと思う。良いものは継承し、悪い部分を修正していく。良い部分が根っこをはやし、幹が太くなったものが年月をかけて、伝統や歴史になると思うからね。
西武ライオンズについて考える。今年は渡辺久信監督から伊原春樹監督にスイッチしたが、わずか半年で伊原監督が休養に入ってしまった。監督それぞれに色がある。渡辺監督にないものを伊原監督に求めるのも分かる。だが、現場の選手にマッチした形で良い点をどこまで継承していたか。
それは監督自身ではなく、フロントの責任が大きいよ。選手の長所と補強ポイントを明確にし、新監督に意見をしたか。逆に監督の要望をフロントは真剣にかなえる努力をしたか。その検証すら放棄したら、この半年はただ黒星を積み上げただけの時間の無駄になる。空白を埋めて、立て直す作業というものは、失った時間と同等以上のエネルギーがかかる。
まだ日本がワールドカップに出始めてから5大会目。そろそろ過去の反省点から根っこの部分が見えてきてもいいと思う。成功例に乏しいというのも分かるけど、歴史やトレンドが変わっても、ブレない色というものがね。野球だったら、それは投手力であり、戦術を含めた緻密な野球ということになる。
優勝を目標に公言していた本田圭佑が「口だけで申し訳ない」と話したけど、協会側も同じレベルで深刻に考えてほしい。あの監督じゃ駄目だったとか、選手がトップコンディションじゃなかった……と考えているのだったら、なぜ、本番前に手だてを講じることができなかったのか。現場とフロントが一体となって前に進んでもらいたい。
野球も昨年3月のWBCで準決勝敗退。ゴルフもサッカーも、メジャー大会で国民を沸かせることが少ない。技術は一流でも、勝ち切るだけの真の力がないと思われても仕方ないよね。
7月上旬にゴルフのセガサミーカップのプロアマに参加してくる。週刊朝日で健筆を振るっている(丸山)茂樹にも会う。石川遼や松山英樹も来るから楽しみだよ。世界で戦う男の感性に触れてみたい。
※週刊朝日 2014年7月11日号