ロリコンがマジョリティーになっている日本で生きることの気持ち悪さを、文筆家の北原みのり氏は本誌連載「ニッポンスッポンポン」の中で指摘する。
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以前本欄で、今、日本の男性に最も売れている「アダルトグッズ」は幼女の女性器を模した「スジまん」という名前の男性向けオナニーホール、という話を書いた。
最近、情報がアップデートされたので、お知らせします。2013年年間売り上げランキング1位(アマゾンジャパン情報)は、「初々しい妹」(定価6千円)という名前の、男性向けオナニーホールです!
セックスグッズ業界の知人によると、「初々しい妹」は、特殊な素材で作られていて、使えば使うほど形や質感が変わっていくのだという。その様子を、男性ユーザーは「成長する」と言うらしい。自分好みに、オナニーホールを「成長」させるのだ。
ネットを見ると、「初々しい妹」を使った男性たちの感想が、何百件も読める。例えばそれは、こんな感じ。
「学生時代にディスポのホール(使い捨てのオナニーホール)を購入して、後腐れの無さに感動しました。それはそれで気楽でしたが、同時に物寂しさも感じておりました」
「使い捨てのオモチャでは、決して得られなかった多幸感でした。ただただ、感謝したい」
本気かどうか、わからないが「初々しい妹」への感謝や感動の気持ちが、ネット上に溢れてる。
赤ちゃんのような顔をしたセーラー服姿の女の子がお尻をつきだす「初々しい妹」が、月に数万個売れていく日本社会。「そういう欲望」を抱くのが「間違い」とまでは、言わない。ただ、ロリコンがマジョリティーになっている社会に生きるのは、女として、そしてかつて女の子だった身として、気味が悪くてたまらない。
いったいロリコンは、日本の男特有の問題なのか。それとも、これが日本の文化なのか。自然な性欲の一種、なのか。ロリコンが、あまりにも深刻化し、一般化している状況は、もはや病ではないのか。
※週刊朝日 2014年3月14日号