サッカーJ1の横浜F・マリノスが、アラフォー軍団の奮闘で首位を快走している。
DFドゥトラは40歳、FWマルキーニョスが37歳、MF中村俊輔とDF中沢佑二の元日本代表組はともに35歳。10月27日、大分トリニータ戦の先発平均年齢は30.3歳だった。
サッカーは前後半合わせて90分を動き続ける激しいスポーツだ。身体接触プレーも多く、故障のリスクも高い。Jリーグの平均引退年齢は実に26歳。「キングカズ」こと横浜FCの三浦知良は46歳だが、2010年12月4日を最後にフル出場は果たせていない。
なぜマリノスでは「中年選手」が主役を張れているのか。スポーツ紙記者は「勝負の勘所を知っている選手が多い」ことを要因に挙げる。
それが顕著だったのは前述の大分トリニータ戦。前半は大分が攻勢に出るも、マリノスはドゥトラ、中沢らの読みが冴え、ピンチの芽を事前に摘む。そして前半45分、中村の「伝家の宝刀」である左足フリーキックで奪った1点を守りきった。
サッカーライターも、その戦いぶりを評価する。
「序盤、前がかりになってくる相手を落ち着いていなし、ミスが出るまで我慢する。そして相手のプレーのほころびを見逃さず、自分たちの勝ちパターンに持っていく。さすがです」
勝負のアヤを読んだ試合運びといえるだろう。
サッカー専門紙「エル・ゴラッソ」にマリノスの記事を書いているジャーナリストの藤井雅彦氏は言う。
「スタメンのベテラン陣は、プレーでも練習でも、すごく『大人』。どうしたら強くなれるのか、勝てるのか、首脳陣に言われなくても、主体的に取り組める。実績のある彼らが練習から自立して取り組んでいるから、若手もそれを見習うという側面はありますよね」
Jリーグ開幕から20年。観戦者の平均年齢も39歳を超えた(昨年度同リーグ調査)。9季ぶりの優勝へ“成熟”した名門チームの奮闘を見守りたい。
※週刊朝日 2013年11月15日号