「脇役」ながら、宮本慎也は2千本安打を達成した=2012年5月4日、神宮球場 (c)朝日新聞社 @@写禁
「脇役」ながら、宮本慎也は2千本安打を達成した=2012年5月4日、神宮球場 (c)朝日新聞社 @@写禁
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 いよいよ始まるプロ野球クライマックスシリーズ。プロ野球チームで監督を務めてきた野村克也氏はその展望や、自身の野球観を明かした。

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 セ・リーグは巨人が堅いだろう。広島も絶対的エースであるマエケン(前田健太)を中心に勢いがあるが、もともとの戦力が巨人は違う。2位の阪神はセの3チームの中でいちばんの「ぬるま湯」体質で勝負にかける姿勢に劣る。常勝を義務づけられた巨人、負ければ夜の街に出歩くこともはばかられる広島とは違い、勝っても負けても地元メディアを中心に選手をチヤホヤしてくれる。

 私の現役時代、シーズン後半に南海対阪急の首位決戦があった。セの試合がないときで、さすがにスポーツ新聞の1面トップは俺たちだろうとワクワクして新聞を広げたら、〈不調にあえぐ掛布特訓〉でガクッときた。打撃練習で何本サク越えしたとか、エエ加減にせいや(笑)。

 広島といえば今年、前田智徳が引退した。話をしたことはないが、高卒で入団して開幕早々ヤクルトとの公式戦に出てきた。素晴らしい選手なのにうちのドラフト候補にも上がっておらず、「なんであの選手がうちのリストにないんだ」とスカウトを叱責したことを覚えている。

 逆にスカウトが「打撃に目をつぶってくれるなら、いい選手がいます」と推薦してきたのが、古田敦也と宮本慎也。センターラインは守備力重視なので指名し入団させて、宮本のグラブさばきに目を見張った。打力に乏しいというのですぐ、「一流の脇役になれ」と励ますと、犠牲バントにエンドランなど、勝利第一主義、チーム優先のプレーを徹底してヤクルトの優勝に貢献してくれた。

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