河本 本物のホッピーを味わう氷を入れない正統派のホッピー(400円)を出す1932年創業の居酒屋。奥のテーブルは常連客の指定席だ。東京都江東区木場1-3-3営業/月曜~金曜 16:00~20:00、土曜 16:00~19:00定休/日曜、祝日、第2土曜(撮影:写真部・時津剛)
河本 本物のホッピーを味わう
氷を入れない正統派のホッピー(400円)を出す1932年創業の居酒屋。奥のテーブルは常連客の指定席だ。
東京都江東区木場1-3-3
営業/月曜~金曜 16:00~20:00、土曜 16:00~19:00
定休/日曜、祝日、第2土曜(撮影:写真部・時津剛)
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「河本」の煮込み(300円)は、調理担当の谷満さんが、朝の5時から3度火を通して味を染み込ませる。父の代からの名物料理だ(撮影/写真部・時津剛)
「河本」の煮込み(300円)は、調理担当の谷満さんが、朝の5時から3度火を通して味を染み込ませる。父の代からの名物料理だ(撮影/写真部・時津剛)

 作家の中島らもさんが生前にこよなく愛した「せんべろ酒場」。「せんべろ」とは、メニュー単価が安くて「千円でべろべろに酔っぱらえる店」の略で、酒好きの懐には大変ありがたい。

【週刊朝日に掲載された写真はこちら】

 数あるなかでも、昔ながらのコの字形カウンターがある店には特に名店が多いとされる。席に座れば、内側にいる大将や女将(おかみ)はどこか家庭的な雰囲気で、心も安らぐ。友人と2人ならいつも以上に話がはずむし、一人酒をしたい時にふらりと訪れるのもいい。ちょっとしたきっかけで常連客と会話が始まるから、寂しさを感じることもない。

 東京・木場にある「河本」は、そんなコの字酒場の代表格だ。戦後の風景をそのまま残している今の店舗は1946年ごろに建てられ、店内にはクーラーもない。それでも開店時間の16時になると「どうも~」と次々に客がやってくる。女将の河本眞壽美(ますみ)さん(78)は、常連客を大切にする店の方針をこう話してくれた。

「一人で静かに飲みたい人もいるんだから、他のお客さんに迷惑かけるのはだめ。そんな人は追い出しちゃう。12歳から店を手伝ってるから、ずっと酔っ払いを怒ってきたのよ(笑)」

 時代は移ろえど、いつもと変わらぬ酒場にいつもの仲間が集う。酒好きなら、そんな店を一つは持っておきたいものだ。

週刊朝日  2013年9月20日号