プロゴルファーの丸山茂樹選手は子どもたちにゴルフを教える過程で、最近の子どもたちのレベルに脱帽したという。

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 おかげさまで、8月20日の「第4回丸山茂樹ジュニアファンデーションゴルフ大会」を無事終えることができました。

 小学1年から高校3年まで、男女123人が参加。午後からの雷雨で、半分の学年の競技が9ホールで打ち切りになってしまいましたけど、空いた時間も追加のレッスンやスイカ割りで楽しみました。

 今回感じたのは、この情報化社会のウエーブに乗って、子どもたちのゴルフのクオリティーがものすごく高くなってるってこと。

 年齢に応じたバランスのクラブでプレーできるから、しっかりしたスイング作りができてる。僕が小さい頃は、あそこまでしっかり打てる子は本当に数少なかった。なんせ僕らは、大人用のクラブを切ってもらって使った世代ですからね。いまの子たちのようにシャフトが軽くないし、しならない。飛ばないですよ。

 ほんと、いまの子はあまりにもちゃんと打てますよ。「おい、それでも小学生かよっ」て、思わずツッコんじゃいますもん。

 あれだけ球を打つ基礎ができてたら、すごく楽しみですよね。ただ、どこまで長年続けてくれるか。いまの世の中、いろんな誘惑がありますからね。なるべく続けてほしいんですけどね。お子さんにゴルフの道に進んでほしいと思ってらっしゃる親御さんには、いかにゴルフを嫌がらせないで、楽しませてあげるか。そのテクニックを磨いてもらいたいですね。

 僕の一人息子である奨王(ショーン)は、生まれも育ちも米国。現在もロサンゼルスの自宅で暮らしています。アマチュアの大会で、もう40 勝ぐらいしてます。でも、僕がゴルフを押し付けたわけじゃないんです。

 アメリカでは子どもに様々なスポーツをさせますよね。学校で自分でサインしてくるんです。「来月でサッカーが終わるから、次はバスケットをやるよ」という感じで。ウチの子もそう。サッカーではあのベッカムの息子と対戦したらしくて、ベッカムのサインをもらってきてましたよ。

 そうやっていろんなスポーツをする中で、彼は自分でゴルフを選んだんです。僕にはゴルフをやってほしいという思いは全然なかった。逆に「プロゴルファーになりたい」なんて言われたら困るなあ、と。でも最初に言われちゃったから、「ショーンにはきっと勉強の方が向いてるよ」なんて、水を向けたぐらいです。僕はおかげさまで順風満帆でこられたけど、冷静に考えて、 2代にわたってこんなことができるのかな、と。神様もそんなに甘くはないだろうし。

 どうせゴルフやるんだったら、石川遼や松山英樹みたいなステージまで到達してほしいじゃないですか。だからいつも言うんですよ。「パパと同じ道は厳しいぞ。常にパパと比較されて生きていかなきゃいけない。そういう心構えがあるのか」って。それでも「やりたい」って言うんでね。その言葉を聞いてからは、激励より叱咤(しった)が多くなりました。

 大きな夢を一つ持って、生きていってくれれば、どんなジャンルでも構わないんです。僕がすべてのものを残すから、ゆっくり暮らせなんて言いません。自分の力でやっていくのが一番大事なので。人を裏切ったりせず、誰からも好かれる人になってほしいな、と思いますね。

週刊朝日 2013年9月13日号

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丸山茂樹

丸山茂樹

丸山茂樹(まるやま・しげき)/1969年9月12日、千葉県市川市生まれ。日本ツアー通算10賞。2000年から米ツアーに本格参戦し、3勝。02年に伊澤利光プロとのコンビでEMCゴルフワールドカップを制した。リオ五輪に続き東京五輪でもゴルフ日本代表監督を務めた。セガサミーホールディングス所属。

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